NumberPREMIER ExBACK NUMBER
「4年前は羽生君や(宇野)昌磨君の背中を見ながら」2度目の五輪で鍵山優真が明かすフィギュアのエース像「両手でガッツポーズとか…試合前に考えます」
posted2026/02/09 17:02
ミラノ・コルティナ五輪フィギュアスケート団体戦の男子ショート、ほぼ完璧な演技で1位になった鍵山優真
text by

野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Asami Enomoto / JMPA
発売中のNumber1137・1138号に掲載の[世界的ピアニストとコラボ]鍵山優真「3つの速さを生かすために」より内容を一部抜粋してお届けします。
自身への問いかけからスタートした五輪シーズン
「北京五輪からの4年で、僕のフィギュアスケートの価値観や考え方は大きく変わりました。4年前はやっぱりジャンプの割合が大きかった。でもアーティスティック・スポーツとして、見る人たちの心に一つの作品として残る演技をすることが大事だと思うようになりました」
22歳になった鍵山優真は、2度目の五輪シーズンを自身への問いかけからスタートした。'24年全日本選手権で優勝し、名実ともに日本男子のエースになったものの、その重圧からスランプも経験した。4年前の五輪のように無我夢中で挑むのではなく、自らが求める演技を思い描いた上で、それを実現させなければならない。
「4年前は先輩たちの背中を見ながら、オリンピックを楽しみました。羽生(結弦)君は、常に勝利を求めて完璧に勝つ姿が行動に出る理想の『ザ・アスリート』。(宇野)昌磨君は皆で切磋琢磨して強くなるということを率先して体現して、今のスケート界をつなげてくれた人です」
ADVERTISEMENT
その上で、自分に目を向ける。
「昨シーズンは『エースはこうならなきゃいけない』という姿があるものだと思っていました。でも、自分の中で色々考えて解釈していったら、今はナチュラルに自然体で、胸を張って、やってきたことをパフォーマンスに出すことが大事だと思えるようになりました」
固定のエース像に近づこうとするのではなく、自然体でこそ自分の強さが発揮できる。そのスタンスが見えると、今度は五輪本番の姿を具体的に計画していった。もともと鍵山はイメージトレーニングを大切にし、本番の演技だけでなく、大会全体の行動を思い描くことで、その姿を具現化させる手法を大切にしているのだ。
「試合前に昼寝している時や会場に向かうバスの中では、演技だけじゃなくて『今日は両手でガッツポーズしよう』とか、観客に手を振るシーンまで考えます」
ピアニストとのコラボレーション
ミラノの五輪会場で、リンクに足を踏み入れる瞬間、演技、ガッツポーズ。そしてメダリストとして栄光の中で滑るエキシビション。鍵山はこのエキシビションを、より特別な、自然体で演じる時間にしようと、オリジナル音源を制作してもらうことに思い至った。

