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「心臓が止まるかと思いました」五輪最終選考直前、脱臼の危機…“りくりゅう”三浦璃来&木原龍一はいかに乗り越えたか「絶対に僕達は成長してる」
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野口美惠Yoshie Noguchi
photograph bySunao Noto / JMPA
posted2026/02/15 17:00
ミラノ五輪フィギュア団体戦でショート、フリーともに最高の演技で日本の銀メダルに貢献した“りくりゅう”三浦璃来&木原龍一ペア
「怪我にフォーカスするんじゃなくて、今出来ることにフォーカスしよう。1年間やってきたんだから、絶対に僕達は成長してる」
三浦も緊張した顔でうなずく。
「最初のポーズにつく直前までずっと、龍一くんが励ましてくれていました」
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曲は、昨季のショートから継続となる『Paint It Black』。力強く、切れ味のある動きで観客を引き込むプログラムだ。オフの間、振付師のシェイリーン・ボーンとブラッシュアップを重ね、一体感を磨いてきた。
「最初に両手を上げるところで、肩が不安定だなと感じました」(三浦)
動きが慎重になる三浦を、木原は必死にサポートする。
「手を引っ張ることが出来ないので、全部の場面で、手を引いているように見せながら滑りました」(木原)
繋いでいる手を離さないように、でも引っ張らないように。木原が広げた手のひらに三浦がそっと手を重ねる。木原が歩調をあわせて距離を保つ。三浦はその気配りを察した。
「全部調整してくれていました。特にステップのフットワークでは、気を付けてくれているのが分かりました」(三浦)
棄権の理由
冒頭の3回転ツイストリフトを決めてからは、技一つ一つに集中した。木原は言う。
「滑り始めは動揺が見られたんですけど、去年と違ったのは、そこからしっかり自分たちらしい強い気持ちにフォーカスできたこと。成長を感じました」
演技を終えると、三浦はそのまま左肩を押さえてうずくまる。不安から解放されて涙目になる三浦を、木原が支えるようにして、リンクサイドのコーチのもとに戻った。
「とにかく無事に、リフトで落下せず終われて良かったと思いました」(木原)
得点は84.91点。国内戦とはいえ、世界記録を上回る高得点だった。
「70点台後半が出れば十分と思っていたので、びっくりしました」(三浦)
まさに世界王者の凱旋といえる渾身の滑り。五輪直前の全日本選手権で、成長の手応えを掴んだ。
しかしフリーは棄権となった。
「無理をして出て、新しい怪我をしてしまうと、さらに3~4週間の練習時間を失うことになります。今休めば、来週からは練習に復帰できる。五輪のことを考えて、大事を取って欠場という判断に至りました」(木原)
三浦も続ける。
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