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「“高木美帆のお姉ちゃん”と呼ばれて…」スピードスケート高木菜那の心が折れた“最強の妹”の出現「私のこと…誰も褒めてくれない」菜那を救った恩師の言葉
text by

高木菜那Nana Takagi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2026/02/10 11:01
初の著書で妹・高木美帆への想いを赤裸々に明かした高木菜那 (写真は2016年撮影)
初めての姉妹対決で負けて、カルガリーにも行けない。すごく悔しいけれど、その事実を自分で認めたくなくて、人前では悔しくないふりをしていました。
みんなが美帆を応援して、「美帆ちゃんはすごいね」と私に言ってきます。
1位は獲れなかったけれど、私だって全国2位なのに。どんなに頑張っても、私のことは誰も見てくれないし、褒めてもくれない。両親や、見てくれていた人は絶対いたはずなのに。
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「結果を残した人だけがひいきされるんだ」
そう思って、周りからの視線や比較の声が本当に苦しくて悔しくて、逃げ出したいくらい辛かった。
「美帆がいなかったら、今ごろ私がカルガリーに行っていたかもしれないのに」
そんなどん底のなかで迎えた中学の卒業式で、私を救ってくれた言葉がありました。
「菜那は菜那だよ」
そう言ってくれたのは、中学の先生で、中体連で3年間スケートを教えてくれていた辻ゆかり先生でした。
文字にすればたった7字。でも、この言葉には美帆の姉としてではなく、“ちゃんと高木菜那という存在を見ているよ”という想いが込められている気がしました。
「ああ、私はここにいてもいい存在なんだ」
私の頑張り、私の存在を認めて、それを伝えてくれる人がいるって、こんなにも嬉しくて心強いんだと思いました。
この言葉がなかったら私は心に限界がきて、スケートをやめていたと思います。
それくらい苦しかった。でもこの言葉のおかげで私の心は救われ、そしてもう一度頑張る勇気をもらいました。
人と比較して、自分の価値を見失ってしまうときは誰にでもあると思います。
でも、人にはそれぞれの価値が必ずあって、それは比べられるものじゃない。
「そのままの私に価値がある」。そう思える大切なきっかけになりました。
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