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15年前に急死の剛腕は「スモーキーと名付けた“魔球”を開発していたんです」元巨人投手が語る米独立リーグの日常と“チームメート”伊良部秀輝の素顔
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2026/01/28 17:02
現役復帰し、米独立リーグでマウンドに立った故・伊良部秀輝さん
「伊良部さんは本当に野球が好きな方でした。野球の話をするともう止まらないんです。ただ速い球を投げるというだけでなく、どうやったらバッターにとって打ちづらい球を投げられるのか、どうすれば抑えられるのかということを証明しようと常に探求していました」
日米通算106勝を挙げたかつての日本最速投手は、2005年3月に一度は現役引退を表明し実業家に転身していた。最後に所属した阪神では暴行事件騒動や故障の影響などもあり戦力外通告を受けていたが、そこから4年経ち、40歳となった右腕は純粋な思いで野球と向き合おうとしていた。
“開発”していた魔球「スモーキー」
伊良部投手はロングビーチで150km近いストレートを投じ、初登板で5年ぶりの勝利投手に。その後先発ローテーションに入り、7月のユマ・スコーピオンズ戦では「先発・伊良部」から「クローザー・三澤」へのリレーでそれぞれ5勝目と3セーブ目を挙げたこともあった。異国の地で同じ日本人のチームメートとして親密な時間を過ごした三澤さんには忘れられない姿がある。
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「伊良部さんは当時、自分で『スモーキー』と名付けた“魔球”を開発していたんですよ。マウンドからホームベース間の18.44mのなかで、打者から見て手元で突然現れるようなボールを投げたい、と。煙の中からパッと現れるようなイメージだから『スモーキー』。ボールが見える時間が短いからバッターのタイミングが取りづらいじゃないですか。完成を目指して握りやフォームを工夫したりブルペンで投げたり……その姿が本当に楽しそうで、今でも忘れられないです」

