箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「最後の最後まで怖かった」箱根駅伝で青学大5連覇阻止・東海大のウラ話…“王者の誤算”と“挑戦者の平常心”が導いた「紙一重の勝利」
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2026/01/21 11:05
95回箱根駅伝の9区を走る、東海大学の主将・湊谷春紀。東洋大、青学大には大きな差をつけ、余裕をもった走りができていたというが
苦杯、そして下降線
翌シーズン、館澤がキャプテンになり、チームを牽引したが、4年生になった黄金世代が戦った96回大会は2位に終わった。箱根5連覇を阻止され、雪辱に燃える青学大相手に苦杯を舐めた。
中島は、「自滅ですね」と語った。
「自分らが実力を出せば、絶対に他大学が勝てるわけがないんです。普通に走れば勝てたし、3冠も狙えたと思うんです。でも、過去の傾向を見ても、その時も、4年の時に箱根を走らなかった自分も含めて、離脱者が多かった。關(颯人)もそうだし、羽生(拓矢)なんてまったく出てこなかった。阪口(竜平)も出たり出なかったりで。
ADVERTISEMENT
東海大は全員が揃わないと勝てないんですよ。逆にみんなが揃って100%のパフォーマンスを発揮できれば、青学大が100%を出しても勝てたと思うんです。ライバルが強かったというよりも、自分らが弱かったんです」
それからチームは徐々に下降線を下っていった。98回大会ではシード権を失った。101回大会では箱根予選会で敗れ、ついに箱根駅伝から東海大の姿が消えた。
名門浮上のきっかけは遠いが……
95回大会の優勝メンバーにも、さまざまな変化があった。
小松と郡司は、現役を引退した。湊谷はNTT西日本に所属してマラソンでのMGC、五輪出場を目指している。館澤は昨年SGホールディングスに移籍し、1500mと駅伝をメインにして、今季は久しぶりに駅伝を走った。中島はYouTuberとして活動しながら、30〜40人規模の小中学生の陸上スクールを夫婦で主宰し、未来の陸上選手を育成している。
そして102回大会、東海大は箱根路に戻ってきた。
かつて優勝争いをした青学大は、箱根3連覇を達成し、黄金時代を築きつつある。東海大は往路を10位で通過し、シード権をつかみかけていたが、6区で出遅れ、最終的には12位でシードに届かなかった。
両角監督は、厳しい表情でこういった。
「シード圏内が見えていながら追いつくことができなかった復路は、歯痒いレースでした。来季は(主力が卒業し)かなり戦力が落ちるので、正直厳しい。この場(箱根の本選)に立てるかというのもあるので、山をはじめ、スタミナなど、いろいろな方面から強化を見直していかないと、本選で戦えないと感じています」
花岡寿哉というエースを擁した今回は、シード権獲得、東海大復活を印象づける最大のチャンスだったが、生かしきれなかった。名門はなかなか浮上のきっかけをつかめずにいる。
それでもあの時、王者・青学大に勝った駅伝は、永遠に色褪せることはない——。
〈全4回の4回目/はじめから読む〉



