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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥が「普通にぶっ倒すと思ったが」元世界王者も予想外だったピカソ戦の“誤算”「それでも、中谷潤人とのドリームマッチは見たい」
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/12/31 11:03
序盤から試合内容、技術面では終始圧倒していた井上だが、倒しきることができないままラウンドが進んでいった
年間4試合をこなしたことは影響しているのだろうか。2021年以降は年間2試合ペースだったことを考えると、2倍に増えている。見えない疲労が蓄積していてもおかしくない。伊藤は少し考えて口を開いた。
「“慣れ”みたいなものが出てしまう、と思うんです。勝って当たり前の雰囲気はありますし、ピカソ戦に関しては陣営を含め、何があっても負けるとは思っていなかったはずです。そうなると、ベストパフォーマンスはなかなか出せない。年間4試合もすれば、1試合に懸ける気持ちも薄れると思います。僕は体の疲労よりも、精神的な疲れがあるんじゃないのかなって」
アフマダリエフ戦でもあった被弾
気になったのは距離が近くなったときの被弾である。ダメージを負うような一撃ではないものの、左フックを顔面に受けたシーンは頭に残っているという。
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「前回のムロジョン・アフマダリエフ戦でも1発、まともにもらったシーンがありましたよね。今回はピカソだから大丈夫という判断だったかもしれませんが、もしも潤人の強い一発だったら、効かされるんじゃないかなって。ピカソよりも間違いなくパンチはあるんで。もちろん、そのときになれば、警戒度が違うので、同じようにはならないと思いますけど……」
必然的に興味の先は、以前から話題になっているドリームマッチに向く。サウジアラビア興行での中谷の“モヤモヤする”パフォーマンスを踏まえると、根本的な問題も持ち上がってきている。大きな夢を抱くようなカードになるのか。興行主側の顔を持つ伊藤だからこそ、抱く思いもある。

