井上尚弥が「普通にぶっ倒すと思ったが」元世界王者も予想外だったピカソ戦の“誤算”「それでも、中谷潤人とのドリームマッチは見たい」 

井上本人が言っている以上……

「最終的には実現すると思います。シンプルに井上選手本人が『（中谷と）やりましょう』と言っているのが、一番の答え。その意向は大橋会長も尊重すると思うので。あのコメントは自信の表れなのかな、と思います。『勝てるから、早くやろうよ』という感じなのかな。後々になって、『中谷のほうが強かった』とは言われたくないと思うので」

　伊藤の予想は7対3で井上。勝利のシナリオは2通り想像できる。中谷の危険な一撃をもらう可能性があるとすれば、試合の序盤のみ。相手のパンチを見切るのは早く、6回以降になれば、被弾の可能性はぐっと下がる。

「3回、4回、5回でカウンターを合わせて倒すパターンもありますし、打ち合って危険性を感じれば、アフマダリエフ戦のように完封する可能性もあると思います。ほとんど穴はない。もしあるとすれば、顎ぐらいですかね」

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　スキらしいスキは井上陣営にも見えない。井上個人のパフォーマンスはもちろんのこと、際立つのはチーム力だという。

どの試合でも一丸となって井上を支えているチーム力が、井上の大きな強みだという　©Takuya Sugiyama

「大橋ジムを含め、井上家の結束力はすごく感じます。いつもチーム一丸となって戦っています。全員が同じ方向を向いているし、試合に向けてあらゆる角度から作戦を立て、考えているのが分かります。リングで戦うのは1人ですが、準備は違う。潤人も1人では勝てないです。井上−中谷戦はチーム力も問われると思いますね」

やっぱり2人のドリームマッチは見たい

　ドリームマッチについて語る伊藤の声は弾んでいた。プロモーターであり、元世界王者として解説なども務めるが、その前に純粋にボクシングが好きな一人である。

「やっぱり、僕もボクシングファンとして2人の試合は見たい。幻のカードでは終わってほしくない。楽しみにしていますよ」

　2026年のボクシング界は、井上、中谷の話題で持ちきりになるのだろうか。マッチメークの実現の可否を含め、すでにプロモーションは始まっているのかもしれない。

〈全2回の2回目／はじめから読む〉