井上尚弥が「普通にぶっ倒すと思ったが」元世界王者も予想外だったピカソ戦の“誤算”「それでも、中谷潤人とのドリームマッチは見たい」 

「2人が拳を交えれば、内容的に面白い試合になると思いますが、ここからどのように盛り上げていくか。プロモーターの仕事をしていて思うのは、リングインまでにファンをいかに楽しませるかどうかだと思うんですよ。ビックリ箱を開けたら、どんなものが出てくるんだろうって、ファンをわくわくさせられるかが大事。それがマッチメークからのプロモーションなのかなって」

中谷とのドリームマッチよりフェザー級挑戦もあるのか？

　ここまで淀みなく話すと、ひと呼吸を置いて、また続けた。

「そういう観点から言えば、中谷の試合で期待値は下がってしまった。井上陣営（大橋ジム）からすれば、（日本男子ボクシング史上初の）5階級制覇を目指し、フェザー級に挑戦するほうが、プロモーションの煽り文句としては盛り上がる。階級を上げて、井上はどうなるんだろう、というファンの興味も湧きますから」

今後の井上の展開について、プロモーターならではの読みを披露した伊藤氏　©NumberWeb

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　実際、大橋会長が現地のサウジアラビアでフェザー級の早期挑戦を示唆したことも各メディアで報じられており、選択肢の一つなのかもしれない。フェザー級には同階級で最も評価が高いと言われる現WBO王者のラファエル・エスピノサ（メキシコ）、好戦的なファイターで対戦相手としてかつて噂にもなった現WBA王者のニック・ボール（イギリス）もいる。2026年5月に東京ドーム興行が開催されるとすれば、主催者で主導権を持つのは大橋ジム。現状の資金力を考えても、エスピノサでもメキシコから呼べるはずだという。

「井上選手の対戦相手がエスピノサでも、東京ドームは満員になると思うんです。長身（185cm）のメキシカン相手にどんな試合をするのか、楽しみですから。マッチメークが分からないのも、面白いかもしれません。試合前にどれだけ話題をつくれるかも重要。ストリーミング配信の時代になり、視聴数も稼がないといけませんので」

　果たして、世紀の日本人頂上決戦は実現するのか——。伊藤ははっきり言う。

【次ページ】　井上本人が言っている以上……