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「今ある体をどれだけ生かせるかを重視」今季大躍進…女子ハードル・中島ひとみはナゼ30歳でも100mが速くなった? まさかの“衝撃スプリント”秘話

posted2025/12/30 11:03

 
「今ある体をどれだけ生かせるかを重視」今季大躍進…女子ハードル・中島ひとみはナゼ30歳でも100mが速くなった? まさかの“衝撃スプリント”秘話<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

今季終盤には専門外の100mでも好記録をマークした女子ハードルの中島ひとみ。スプリンターには珍しい細身のフィジカルでも躍進できたワケは…?

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加藤秀彬(朝日新聞)

加藤秀彬(朝日新聞)Hideaki Kato

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Kiichi Matsumoto

 女子100mハードル(100mH)で今季、日本歴代2位となる記録をマークし、東京世界陸上では準決勝にも進出した中島ひとみ(30歳)。レース前のパフォーマンスやオシャレなネイルなど競技外でも話題となった一方で、注目度の急上昇には負の側面も伴ったという。様々な意味で激動だった今季を終えたトップハードラーに話を聞いた。《NumberWebインタビュー全2回の2回目/最初から読む》

 専門種目の100mHで、世界選手権準決勝進出を始めとする活躍が注目された中島ひとみ(長谷川体育施設)。一方、シーズン終盤に光ったのは、国内トップスプリンターたちさえしのぐ走力だった。

 10月、中島は滋賀県であった国民スポーツ大会(旧・国民体育大会)の女子100mに出場した。「国体」時代も含め、出場するのは大学4年以来だった。

「正直、ガス欠状態で、気持ちも体もコンディションがいいわけではありませんでした。世界陸上が終わった後の疲労感は何とも言えないものがあって」

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 それでも出場を決めたのには理由があった。

「地元の兵庫の先生たちがずっと応援してくれていたし、成年の選手として、中高生の輪に入って伝えられる経験もあると思ったので」

“本業”ではないスプリント種目なら、少し気が楽だったことも背中を押した。2025年シーズンでは初めての100m。予選から、その走りは衝撃的だった。

専門外の100mで…超好記録の衝撃

 雨が降りしきるトラックを、軽やかな接地で加速していく。中盤以降も弾むように進み、後半も余力があるようだった。

 11秒60(+0.4)。

 シーズン前に立てていた11秒60の目標タイムをクリアし、同組の200m日本記録保持者、井戸アビゲイル風果(東邦銀行)にも先着して1位通過。準決勝で11秒59までタイムを伸ばし、決勝では御家瀬緑(住友電工)に次ぐ2位に入った。

 予選の内容を見る限り、いつ11秒50を切ってもおかしくないと思える。

【次ページ】 30歳で100m記録を大幅更新…なぜ速くなった?

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