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大阪桐蔭“最強世代のエース”はなぜプロで輝けなかった? 「性に合わずあれこれ考えるように…」元日ハム・柿木蓮が振り返る「結果が全ての世界」
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沢井史Fumi Sawai
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/12/29 11:02
2018年の甲子園で春夏連覇を達成した大阪桐蔭「最強世代」のエースだった柿木蓮。満を持して進んだプロの舞台で、なぜ輝けなかったのか
ただ、「なんで速いの?」と聞かれても説明できない自分がいた。
「本当はそれが凄く嫌でした。今思うと自分の感覚で投げられていたからスピードが出ていただけ。それも説明できないのが……。ただ、自分は佐賀の田舎で育って、球場やグラウンドにはスピードガンがないのが普通でした。それでもバッターを打ち取るために思い切り腕を振ることを教わって、ただ思い切り腕を振ってきました。それで中学校の時は結果が出ていたので、その感覚をずっと持ちながら投げてきました」
不調にもがき苦しむ中、チームのトレーナーや指導者のもとで段階を踏みながら投げ方を明確にし、フォームを再考しながら試行錯誤を経て徐々に投げられる形にこぎつけた。
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「栗山(英樹)さんの最後の年(2021年)でしたかね、これかなという感覚が持てるようになりました」
それが翌年の一軍初登板に繋がっていった。
光が見えた矢先の降格…「いっぺんにやろうとしすぎた」
ただ、その直後に育成に降格することになった。要因は様々だったと本人は振り返るが、ひと言で言うと「いっぺんにやろうとしすぎた」と思い返す。
「結果が全ての世界。課題をひとつひとつ見直していけば良かったのに、一気にやり込んで、あれも、これもという風になりすぎました。自分の考え方のレベルの低さを感じました」
実は育成契約の打診を受けたとき、家族からは意外な提案も受けたという。
<次回へつづく>

