「他球団ででも現役を続けようかと」元首位打者、苦悩の決断…さらば“燕のプリンス”川端慎吾「最後の打席でも“まだやりたいなあ”って（笑）」 

「最後は打席を楽しもうと思っていたんですが、いざネクストに入るといつも通り“仕事”のスイッチが入った。絶対打たなきゃ、打つんだ、という気持ちに自然となりましたね。でも打ち終わった後に大歓声が聞こえてきて、そこでもう涙が止まらなくなった。もう、ダメでした。最後にライトスタンドに挨拶に行ったらものすごい歓声をいただいて。あの時が一番、涙が出ましたね」

もっと若い選手がガンガンやってくれていれば……

　今秋から指導者に転身した。引退決断まで迷い抜き、野球を続ける思いが強かったからこそ、若手選手には思うところがある。

「もっと若い選手がガンガンやってくれて、自分はもう無理だなと思うような状況にしてくれれば僕も簡単に諦められたかもしれない。絶対に一軍に上がって活躍するんだ、という姿勢をもっと前面に出して、ぶつかっていって欲しいと感じるところは多少ありました」

川端慎吾　©Keiji Ishikawa

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　3月に行われる「引退試合」では、打席に立つだけでなく守備につく可能性もあるという。

「キャンプから準備していきます。コーチとしての仕事が第一ですが、チームの練習が終わった後の合間を見つけて自主トレしていかないと（笑）」

　天才バットマンの「最終章」は、まだ終わっていない。

　後編は、壮絶な怪我との闘い、そしてあの“伝説の一打”の裏側を明かす。

〈つづく〉