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ツバメのさえずり日誌BACK NUMBER
「他球団ででも現役を続けようかと」元首位打者、苦悩の決断…さらば“燕のプリンス”川端慎吾「最後の打席でも“まだやりたいなあ”って(笑)」
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2025/12/29 11:05
スワローズ一筋で20年を過ごした「燕のプリンス」。天才的なバットコントロールで2015年に首位打者を獲得した川端の、現役引退決断までの苦悩とは?
会見の5日ほど前まで悩んでいた
「今年は一軍で一度もチャンスがなかった。だから自分の中でどうしても諦めきれない、という気持ちがありました。一軍に上がって結果が出なければ諦めがついたんでしょうけど、シーズンが始まらないまま終わってしまう、という感覚になっていたんです。
ファームの試合に出ると、やっぱまだやりたい、できる、という気持ちが出てきますし、逆に家に帰って落ち着いたところで考えると、もう無理なのかなと思ったりして……。どうすれば決められるんだろう、と本当に悩みました」
最終的に決断したのは、引退会見の5日ほど前だという。家族や高校時代の恩師、宮本慎也氏らスワローズの先輩にも相談し、冷静に考えを整理する中で気持ちが固まった。
最後の打席でも“まだやりたいなあ”と思っていた
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「最後の決め手はやはり、球団への感謝でした。20年間、良い時も悪い時もずっとお世話になっていて、スワローズ一筋でやらせてもらった。その思いとともに、ここでユニフォームを脱ぐのがいいのかな、と決めました。と言ってもその後も野球をやりたい気持ちは消えなかったですよ。だって神宮で最後の打席に立った時も“まだやりたいなあ”と思ったくらいでしたから(笑)」
引退会見から数時間後、川端は今季初めて一軍に合流し神宮球場のグラウンドに立った。広島戦の7回、代打がコールされると、本拠地からは地鳴りのような歓声が沸き起こった。3球目、高めに浮いたファーストストライクを鋭いスイングで捉える。右翼線への二塁打は、通算1100本目にして現役最後のヒットになった。

