「いまはW杯どうこうではない…」2カ月半の沈黙…ブライトン三笘薫（28歳）は復帰戦で何を話したか？「ケガは左足首」「まだコンディションが戻りきってない」 

　記者から「日本代表はブラジルに勝利したりと、色々ありました。どんな風に見ていましたか」と聞かれると、三笘は「いや、まず自分がコンディションを戻し、そこに持っていけるかだけ考えていました。それができないと、まず代表も何もないと思うので。自分だけに集中していました」と言う。

　また、“オランダとチュニジア、欧州プレーオフから1カ国”という抽選結果について問われても、三笘は「それも同じですね。W杯どうこうではなく、まず自分が（ブライトンで）ピッチに立ってアピールしないといけない。試合に出ない限り（代表に）選ばれないと思います。そこは全く考えてない」と話した。

　3月の強化試合としてイングランド代表との一戦が決まったことにも「なかなかない機会。（W杯まで）最後の2試合になるので、完成度を高めたい」と語りつつも、「（目標としては）そこはまったく見てない。次の試合と、チームの力になることだけ考えている」と続け、やはり今は試合に出続けて活躍することの方が遥かに重要だと力を込めた。

リバプール右SBに入っていたソボスライとマッチアップ　©Getty Images

ADVERTISEMENT

　三笘が胸に秘めているのは、いつだって「チャレンジャーの精神」である。

　日本代表では紛れもないエース。プレミアリーグでの知名度も、日本人選手では抜群に高い。しかし、自身の立ち位置を「挑戦者」から変えようとしない。もちろん好調時には「プレーで（代表を）引っ張りたい」と話すことはあるが、チャレンジャーとの趣旨の発言を、これまでも繰り返し述べてきた。

　三笘を取材する記者としては「良い意味で、もっとエゴを出してもいいのでは……」ともどかしさを感じることもあるが、三笘は慢心したり、驕ったりするところがまったくない。怪我をして試合に出ていないのなら、あくまでもゼロからの仕切り直し。謙虚な姿勢を、今回も崩すことはなかった。

アーセナルのレジェンド「ミトマはとても好きな選手」

　とはいえ、周囲は期待の眼差しを向ける。元スウェーデン代表MFのフレドリック・リュングベリもそのひとりだ。

　48歳になったアーセナルのレジェンドは、母国のテレビ解説で、プレミアリーグ第2節のエバートン対ブライトン戦を訪れていた。

　試合を終えてプレスラウンジで腰掛けていると、同じテーブルに座ったのがユングベリだった。顔の皺は増えたが、体形は現役時代とさほど変わらず引き締まっている。こちらから「今日はテレビの解説ですか？」と聞くと、「そうなんだ」と返して会話が始まった。

　現役時代に在籍した清水エスパルスの順位などを聞かれた後、こちらからこう尋ねてみた。「同じウインガーとして、三笘薫をどう見ていますか？」と。ユングベリはこう話した。

【次ページ】　アーセナルのレジェンド「ミトマはとても好きな選手」