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「私たち…駅伝、出られるの?」からの出発…“長距離部員は3人だけ”地方の公立校がなぜ全国高校駅伝の女王に? 18年前「長野東の奇跡」を振り返る 

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別府響

別府響Hibiki Beppu

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photograph byJIJI PRESS

posted2025/12/21 06:01

「私たち…駅伝、出られるの?」からの出発…“長距離部員は3人だけ”地方の公立校がなぜ全国高校駅伝の女王に? 18年前「長野東の奇跡」を振り返る<Number Web> photograph by JIJI PRESS

昨年の全国高校駅伝で2度目の全国制覇を果たした長野東高校。いまでは駅伝女王となった「普通の公立校」の黎明期とは?

 ところがそんなところに突然、県下のトップランナーが3人も、自分に師事したいとやってくるという。

 自宅が近い小田切はともかく、西澤姉妹は下宿になる。だが、普通の公立校である長野東に運動部の寮などあるはずもない。となると、住むところから探さなければならない。まだ何の実績もない高校に、そこまでして入学するのかと逆に心配にもなった。

「でも、最初から3人とも『全国高校駅伝に出たい。都大路で入賞するようなチームにしたい』と目標が固まっていて。そういわれたら、指導する側からすればやるしかない」

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 結局、前任校で指導していた時代も自宅を下宿として利用していた経験もあり、西澤姉妹は玉城が妻と幼い子ども2人とともに住んでいた自宅に下宿することになった。

記憶に残る練習は…「とにかくずっとジョグ」

「とにかくずっとジョグをしていた気がします。特別な練習をしていたわけじゃなくて、ひたすら河川敷をジョグしていました」

 2006年の4月に高校入学した直後の練習風景を、小田切はそんな風に振り返る。

 練習場所は陸上競技場ではなく、学校のグラウンドでもない。高校から10キロほど離れた犀川河川敷の一部を使ったランニングコースだった。

 実はそんな異例のコースを練習場所としたのには、玉城の深謀遠慮があった――ワケでは全くなかった。

「単純に時間がなかったんです(笑)。全国で戦うことを目標にするなら、まずはある程度距離を走らないと話にならない。でも、市内の競技場まで行って帰って……とやっていたら、その往復だけで数時間かかってしまう」

 全寮制で寮の目の前にトラックがあるような強豪校ならいざ知らず、普通の公立校にはそもそも練習環境がない。一方で、前述の犀川ランニングコースはたまたま玉城の自宅の目の前だった。そこに下宿している西澤姉妹はもちろん、近隣に自宅がある小田切にとってもアクセスが良かったのだ。

「平日だと朝練が5時半から1時間弱で、午後の練習は授業が終わった4時半から6時半くらいまで。練習場所が近ければ朝食前に朝練をして、すぐに食事を摂って授業に行ける。夕方も練習が終わればすぐに自宅に戻って食事や休養に充てられる。じゃあ、ここでいいやと」

 しかも、偶然の幸運も重なった。ちょうど3人が入学した数カ月後に、台風の影響でその河川敷の下にあった竹林が倒れてしまったのだ。

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