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「もっと“秋本美空”を見て」同世代ライバルが異例の訴え…女子バレー期待の新星・秋本美空19歳は何がスゴい?「木村沙織さんを超えるぐらいの…」
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田中夕子Yuko Tanaka
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2025/12/19 11:07
同世代のライバルをも魅了する秋本美空(19歳)の才能とキャラクター。今夏、ヴィクトリーナ姫路からドイツにレンタル移籍して経験を積んでいる
「美空って、本当にすごいんです。誰かにたとえるのはいいかどうかわからないですけど、私は木村沙織さんと同じぐらいか、沙織さんを超えるぐらいの選手になると信じています」
こう実感を込めて語るのは、秋本より1学年上で、U18・U19日本代表で共にプレーしてきた笠井季璃だ。旭川実業高で主将を務め、春高バレーではチームを3位に導いた。現在はSVリーグのクインシーズ刈谷でプレーしている。
笠井は秋本と同じアウトサイドヒッターだが、相手ブロックに当てて吹き飛ばすようなパワフルさが武器。高さとしなやかさを備えた秋本とはプレースタイルが異なるが、それでも笠井は「どんな時でも緊張しないし、物怖じしない」という秋本のメンタルの強さと、そして「バレーIQの高さ」に舌を巻く。
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「高校生年代では美空ぐらい身長があると高さが武器と言われるじゃないですか。でもさらに上のカテゴリーや世界に目を向ければ、背が高い選手はたくさんいる。そういう選手を相手にしても得点を決められる理由は、美空が“考えられる選手”で、“1点を取る知恵と技術がある選手”だからなんです」
「美空、人のいるところに打たないから」
コミュニケーション力に長け、リーダーシップに定評がある笠井はアンダーカテゴリーでキャプテンを務めてきた。先輩ということもあって、日常から積極的にコミュニケーションを取ってきたというが、秋本のふとした発言が笠井に鮮烈なインパクトを与えた。
「美空にどんなことを考えてプレーしているのかと聞いたとき、『美空、人のいるところに打たないから』って。確かに日本代表でも美空のプレーを見ていると、ブロックアウトもレシーバーが追いつく場所に飛ばすのではなく、相手が届かない自チームのコート側にボールが飛ぶように狙う。無理にブロックの上や間を打つのではなく、ブロックの後ろに落とすフェイントも絶妙。ほんとにその通りだ、ってものすごく納得しました」


