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「祐希の妹」を脱却し、プロの道へ。
東レ石川真佑の笑顔が弾けた1本。
posted2019/03/24 17:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Kiichi Matsumoto
少し緊張気味にコートへ。
見慣れたえんじ色のユニフォームではなく、青とオレンジ、背には「17」の背番号と「MAYU」の文字。スターティングメンバーが会場にコールされ、最後に石川真佑の名が告げられると、会場からも歓声が起こる。
セッター対角の位置に入り、サーブレシーブに入る。下北沢成徳高校での3年間は、常に世代を代表する選手として注目され活躍してきた石川が、Vリーグの東レアローズでどんな姿を見せるのか。
多くの期待が集まる中、さっそく洗礼を受けた。
なぜなら相手は「ファイナル8」という8チームでのプレーオフを全勝、1試合を残してファイナル進出を決めることになる久光製薬スプリングスだ。個人技、組織力も抜群で、特にサーブ力は随一。エリアや選手、狙う場所へ的確に、伸びたり、落ちたり、工夫を凝らしたサーブで東レの出鼻をくじく。
石川が受けたVリーグの洗礼。
初スタメンの石川がターゲットになるのは、むしろ想定内だ。
試合開始直後、久光製薬の岩坂名奈が打った1本目のサーブは石川がレシーブし、東レが1点目を挙げる。最初のプレーはそつなくこなすも、1-1で久光製薬のサーバーは新鍋理沙。アンダーハンドでレシーブしようとするも横に弾いて1-2。続く2本目のサーブはオーバーハンドでのレシーブを試みたがそのまま後方に弾き1-3。2本のサービスエースを献上した。
これから飛び込む世界は、そんなに甘いものじゃない。
11-15と点差が開いた中盤に交代を命じられたが、下を向くわけではない。新たな未来を切り拓く挑戦はまだ始まったばかりで、いくらでも挽回のチャンスがある。
そう、あの時とは違って。