オリンピックへの道BACK NUMBER
「引退報道」柔道・角田夏実33歳の決断のウラにあった“葛藤の理由”「気持ち毎日変わる」「まだ勝負の世界にいたい」金メダル後も考え続けた“去就問題”
posted2025/12/08 17:01
12月7日、第一線を退くことが報じられた柔道金メダリストの角田夏実(33歳)
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
12月7日、パリ五輪柔道48kg級の金メダリスト、角田夏実が第一線を退く意向を固めたこと、近日中に記者会見を開く予定であることが伝えられた。
この日、角田は、東京体育館で開催されていた柔道の国際大会、グランドスラム東京の中で実施されたイベントに参加。そのあと、「今後のことは会社と相談をしていて、そろそろ発表できる手続きをしています」と語ったという。そして関係者から、結論が明かされたというのが経緯になる。
これまで、何度も柔道への愛着を語ってきた角田だから、柔道家であり続けるだろう。ただ、オリンピックや世界選手権に出場する、あるいはそこを目指す立場から退くことは濃厚になったと言える。
引退と柔道愛のあいだで揺れていた
ADVERTISEMENT
パリ五輪の後、角田は去就を考えてきた。31歳で初めてつかんだ大舞台、そこで目標としていた金メダル獲得の夢をかなえた。日本柔道では最年長の金メダリストとなった。思いを成就し、年齢的なことも考えれば、そこで引退するとしても決して不思議はない。柔道に限らず多くのアスリートがオリンピックを、キャリアを締めくくる最後の舞台としてきた。
ただ角田は、すぐに引退という道を選ばなかった。競技続行も選ばなかった。どう選択するのかを考えてきた。
今年4月、無差別で行われる全日本女子選手権に挑戦し、自分よりもはるかに体重の重い選手たちと対戦し2勝して敗れたあとの言葉が示唆する。

