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「引退報道」柔道・角田夏実33歳の決断のウラにあった“葛藤の理由”「気持ち毎日変わる」「まだ勝負の世界にいたい」金メダル後も考え続けた“去就問題” 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2025/12/08 17:01

「引退報道」柔道・角田夏実33歳の決断のウラにあった“葛藤の理由”「気持ち毎日変わる」「まだ勝負の世界にいたい」金メダル後も考え続けた“去就問題”<Number Web> photograph by AFLO

12月7日、第一線を退くことが報じられた柔道金メダリストの角田夏実(33歳)

「勝って当たり前じゃない大会で負けたことが悔しいです。もっとできることがあったんじゃないかとすごく考えてしまいます。まだまだ勝負の世界にいたいです」

「(今後に関しては)気持ちが毎日ころころ変わるような日々を過ごしています。柔道を追い込んでいるときが、一番充実して、楽しいと思えますし、そのきつさや充実感は引退したら味わえないと思うと、寂しい気持ちがあります」

 引退を考えつつも、柔道への思い、勝負の世界に身を置いていたいという気持ちとの揺れがあった。

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 それからも考え続け、ついに決断した。

じつは12月の大会にもエントリー…角田の思い

 ある意味、決めるべき時期でもあった。

 2028年ロサンゼルス五輪の出場権などにかかわる世界ランキングのポイント加算は2026年からスタートする。

 2026年でいちばん大きな大会は世界選手権で、その日本代表争いもいよいよ本格化しようとしている。つまり、オリンピックの代表争いもスタートすると言ってよい時期だ。だから、ロサンゼルス五輪を目指すかどうか、決めるタイミングと言える。

 ただ、2023年に競技生活に一つの区切りをつけることを発表したリオデジャネイロ、東京五輪金メダリストの大野将平が、「柔道家に引退はありません」と語ったように(角田のニュースが伝えられた前日の12月6日、グランドスラム東京で引退セレモニーを実施した)、第一線から退くとしてもその後の形はいろいろだ。まさに引退という形もあるし、全日本柔道連盟の強化選手にはならない、つまり日本代表を目指す立場には身を置かず、一方で何らかの形で選手として畳に立つ形もある。

 実は角田は、12月20日に無差別で行われる千葉県選手権にエントリーしている。ここで結果を残せば関東選手権に、そこから全日本女子選手権出場へとつながっていく。今年4月に同選手権に出場したあと、体格に勝る相手に挑む感覚への楽しさから、もう一度出てみたいという気持ちも芽生えたという。その表れとも言える。

 体調の面から、実際に出場するかどうかは微妙な状態だというが、エントリーしたことそのものが、柔道への意思のありようを示している。

【次ページ】 再び畳で戦う可能性も、ゼロではない

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