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「10年先の日本は結構やばい?」大迫傑が語る”日本長距離界への危機感” Xに投稿した「箱根にはエベレストはない」の真意「世界を本気で狙うなら…」 

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涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

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photograph byShota Matsumoto

posted2025/12/06 17:01

「10年先の日本は結構やばい?」大迫傑が語る”日本長距離界への危機感” Xに投稿した「箱根にはエベレストはない」の真意「世界を本気で狙うなら…」<Number Web> photograph by Shota Matsumoto

12月7日のバレンシアマラソンに出場する大迫傑が「日本長距離界に抱く危機感」について語った

大迫 コナー選手、SNSで練習内容を公開してますよね。

コナー選手のプロセスは日本人の指標になる

――えっ、本当ですか?

大迫 僕もしっかりフォローしているわけじゃないですけど、公開されているデータによるとレース前は、1週間に210kmぐらい走っていて、おそらく宗教上の理由で日曜日がレストみたいです。それを詳しく追っていけば、シカゴマラソンに向けて、どんな標高で、どれくらいの比率でVO2Max(最大酸素摂取量)やLT(乳酸性閾値)をターゲットにした練習をしていたのか参考になると思うんですよね。

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 彼は身長もそんなに高くないし、アフリカ系に比べればフォームも綺麗とは言えない。そういう選手が、どうやってマラソンを2時間4分台で走ったのか。このプロセスは日本人にとっても指標の一つになるんじゃないかなとは思います。

 でも、なぜ公開しているかって考えると、見てもどうせお前らできないでしょ、みたいな感じだと思うんですけどね(苦笑)。そのぐらい自分に自信があるのかな、と。僕はあんまり練習内容を他人に見せないタイプなんですけど(笑)、見せてくれてる選手に関してはありがたく参考にさせてもらおうかなと思っています。

――しかし、日本では「盛り上がってよかった」というとてもポジティブな総括がされている世界陸上ですが、大迫選手は危機感の方が強かったんですね。

大迫 もちろん盛況に終わったことは凄くよかったし、世界レベルのレースをみた子供たちの刺激になったと思います。あれだけ盛り上がった国立競技場を見て、将来こういうところで走ってみたいと考えてくれる子がでてきたら嬉しいですよね。でも、自分が専門とする長距離にフォーカスすると危機感が強かったということです。

 じゃあ、日本人選手はどうしたらいいのか。まだ自分の頭の中でも言葉がうまくまとまっていないんですが、自分の物差しというか、自分の中の「円」を広げていくことが大事なのかなと思ってます。

――「円」というのは、視野というか、考える範囲ということですか?

大迫 そうですね。例えば、SNSをうまく利用している人たちは、自分の価値観やトレーニング、活動範囲が全世界に広がっていくことが実感として分かると思うんですよ。世界とつながっているというか、「自分たちもできる」って思えたりすることもあるハズです。でも、日本のSNSをみていると、なんかどんどん世界が小さくなっていくような気がしていて……。難しいな、何て言ったらいいんですかね? 発信することで自由になってる人と、窮屈になってる人がいるというか。自由になってる人は競技面だけで言ってもレース戦略やアプローチも変わるし、どんどん自分の可能性を広げていける。反対に窮屈な人は小さい世界の評価ばかり気にしているというか。

――大迫選手は時に波紋を呼ぶポストもありますが、アスリートとしてSNSをかなり活用している方ですよね。

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