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「消えろ」「大嫌い」SNSでの誹謗中傷も…“女子プロレス界の貴婦人”桜井麻衣の壮絶体験「支えてくれたのはジュリアさんでした」《特別グラビア》 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2025/12/05 17:35

「消えろ」「大嫌い」SNSでの誹謗中傷も…“女子プロレス界の貴婦人”桜井麻衣の壮絶体験「支えてくれたのはジュリアさんでした」《特別グラビア》<Number Web> photograph by Essei Hara

マリーゴールドで活躍する桜井麻衣。フェリス卒の“お嬢様レスラー”として知られるが、デビュー後の道のりは壮絶なものだった

「ジュリアさんがいなかったらやめていた」

 ジュリアとは10月にWWEが日本で開催された時に会ったという。

「ジュリアさんとは、会うたびになんか、家族と会うような気分になるんです。もつ鍋を食べにいきました。久しぶりにお会いして『頑張ってるね。明るくなったね』と言われました。これは私にとって最高の誉め言葉でした。昔から散々、誹謗中傷されてきて大炎上した経験があるので、マリーゴールドでの旗揚げ当初の自分は『もうこれ以上人に嫌われたくない、叩かれたくない』って気持ちが強くて、それなのに大事な旗揚げ戦でいい試合ができなくて、また批判を浴びて。すごくネガティブな方へ行ってしまって『もうやめたい、私なんかが居ても何も団体に貢献できない。居ない方がいい。私の居場所なんてない』みたいなことを言ってて。その時もジュリアさんが『何でそんなネガティブなこと言うの!』って、ずっとそんなやり取りをして私の心を支えてくれていました。今、考えると私、超面倒くさいですよね」

「あの時、ジュリアさんがいなかったら、私はマリーゴールドをやめていたと思います。自分では何がどう変わったのか分からないですが、でもきっかけはジュリアさんのラスト・シングルマッチ(2024年8月19日、後楽園ホール)からだと思います。気持ちの強さとか、考え方とか。なんかあの日から別人格になったような感じです」

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 桜井はジュリアとの話を続けた。

「久しぶりにお会いしたジュリアさんは優しかったです。昔は私が怒られていた記憶が多いので、トイレで泣いていたのを思い出しました。当時、ジュリアさんは自分の試合もある中で、私の全ての試合をセコンドについてチェックしてくれていました。ダメなところ、良かったところを試合後に遠征先のホテルでもう一度映像で見返して、他の人の試合も含めて、よく一緒に試合を見ていました。いまだに変な試合したら怒られるんじゃないかって思ったりします。でもそれが良いプレッシャーです。新人の頃に厳しく育てていただいたからこそ、今の私があると思っています」

 桜井に10月26日の弓月との試合について聞いてみた。

「私が一番やりたかった、感情をぶつけ合う試合ができたかなと思います。今までは、弓月に対してはスーパーフライ級の時のような速い試合をする印象でした。しばき合いのような試合は今まで経験したこともなければ、『こんな痛み味わったことがない』という試合だったんじゃないですかね。私がこれまでに味わった壮絶な痛み。こういう世界もあるんだよっていうのを、自分がリング上で教えられることが何かあるなら、それを弓月とのユナイテッド・ナショナル戦でやりたいなと思っていたので」

【次ページ】 「エリートじゃない、泥臭い私だからこそ」

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