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「消えろ」「大嫌い」SNSでの誹謗中傷も…“女子プロレス界の貴婦人”桜井麻衣の壮絶体験「支えてくれたのはジュリアさんでした」《特別グラビア》 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2025/12/05 17:35

「消えろ」「大嫌い」SNSでの誹謗中傷も…“女子プロレス界の貴婦人”桜井麻衣の壮絶体験「支えてくれたのはジュリアさんでした」《特別グラビア》<Number Web> photograph by Essei Hara

マリーゴールドで活躍する桜井麻衣。フェリス卒の“お嬢様レスラー”として知られるが、デビュー後の道のりは壮絶なものだった

「当時は芸能の仕事が残っていたので、その全ての仕事が終わってからプロレスに専念できるタイミングで参戦させていただく予定だったのですが、当初の予定より参戦の時期が早まり、お客さんからは“プロレスに専念しないの?”という目で見られてしまい、誹謗中傷、批判コメントの嵐でした。しかも"解雇"という記事も出ていて、それでスターダムに参戦で二足の草鞋はイメージが悪過ぎたのだと思います。それでも小川さんはこう言ってくれました。『真実は一つですから』と。何にもできない私を拾ってくれたこと、感謝しかないですし、この人を絶対に裏切らないように生きよう。そして小川さんに絶対恩返しするってあの日、心に決めました。デビューしてから1年半経ってましたが、まだ10試合ほどしか試合経験がない中、スターダムのリングに上がりました」

「消えろ」「大嫌い」SNSでの誹謗中傷も…

 桜井は試合を組まれることの喜びを感じていた。

「月に10試合以上している団体からすると、私の同期は180試合してる計算になるけど、私は経験値的にまだデビューほやほやの赤ちゃん。今までは月に1試合だったのが、急に月に10試合出られること、しかも必ずカードに組まれることが本当に嬉しくてありがたかったです。参戦初日からいきなり若手のベルトをかけたタイトルマッチ、その後シングルマッチ10番勝負、大阪城ホールでマーベラスと対抗戦をしたことも鮮明に覚えています。試合が昼興行の時は試合後に芸能の仕事の現場へ直行したり、夜興行の時は早朝からラジオやバラエティ番組などの収録を終えて、その後で試合会場に直行したりしていました。スターダムに参戦してから4カ月くらいは休みの日が全くなくて、毎日睡眠時間が2、3時間くらいでした。その時を今振り返ると、ゆっくり考える時間がないので、ただ試合をすることだけで精一杯で“こなしてしまっている”みたいな感じでした」

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「それにプロレスの基礎が全然できていなかったので、SNSでは『車イス生活になれ』とか『消えろ』とか『大嫌い』とか、そんなコメントが300件くらい来たりしました。2021年8月に参戦して4カ月経った12月頃から、ようやくプロレスだけに集中できる時間が増えてきた」

「この頃には批判されることにもう慣れてくるくらい、メンタルも強くなっていました。でも人間なのでどんなに強くたって気分が落ちる時だってあるじゃないですか。そんな時いつも支えてくれたのはジュリアさんでした。私がスターダムに参戦したばかりの頃、『週刊プロレス』の連載の中で誹謗中傷について、私のことを守るような発言をしてくれていたのもジュリアさんでした。心の支えだったし、とても心強い存在でした」

【次ページ】 「ジュリアさんがいなかったらやめていた」

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