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名将・広岡達朗の“野村克也批判”「データ野球なんて嘘だよ」いったいなぜ? 酷評のウラに“ある疑念”「そんな優勝に価値があると思うかい?」 

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長谷川晶一

長谷川晶一Shoichi Hasegawa

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photograph bySankei Shimbun

posted2025/12/05 11:25

名将・広岡達朗の“野村克也批判”「データ野球なんて嘘だよ」いったいなぜ? 酷評のウラに“ある疑念”「そんな優勝に価値があると思うかい?」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

野村克也を「まったく認めていない」と語った広岡達朗。両者ともヤクルトを日本一に導いた名将だ

 もちろん、確たる証拠があるわけではない。けれども、広岡はスパイ行為の存在を確信し、同時に自らに言い聞かせていた。

(私は正々堂々、正しいやり方で結果を残してみせる)

「そんな優勝に価値があると思うかい?」

 改めて問う。

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――あなたがスワローズの監督時代、他球団はスパイ行為をしていたのですか?

「それはわからない。広島市民球場のバックスクリーンにはサインを覗くための部屋があると聞いたことがある。それで、実際に試合前に森(昌彦/現・祇晶)が自分の目で確かめに行ったこともある。証拠が見つかったわけではないけれど……」

 現在、70代、80代を迎えている昭和のレジェンドプレーヤーの取材を続けていると、しばしば「1970年代のプロ野球界ではサイン盗み、スパイ野球が横行していた」という話を聞くことがある。真偽は不明だが、多くの者が同様の証言をしたり、言及したりしている書籍も散見されることから、そうした行為がなされていた可能性は高い。

 広岡はこの問題について言及する際には、必ず色をなして語調が強くなった。

「正しいことをせずに勝利を得たとして、それが何になるというのだ。そんな優勝に価値があると思うかい? あるはずがないだろう」

 正しいことを、正しい方法で行えば、必ず正しい結果が出る――。

 それがモットーの広岡にとって、「スパイ野球」を許容できないのは当然のことだ。実際に三原が、そして野村がそうだったのかはわからない。しかし、少なくとも広岡は「間違いない」と確信している。自分が信じたやり方で、スワローズを、そして1980年代にはライオンズを率いた。

「私は私の信念にのっとって監督を務めてきた。その点については何ひとつやましいことはない。カンニングをしてまでテストに合格したいとは思わない。そんな消極的な思いは、できるだけ心から遠ざけて生きてきたのだから」

 そして広岡は、いつも口にする言葉を発した。

「健全な肉体に健全な精神が宿るんじゃないんだ。健全な精神が健全な肉体を作るんだ。心の持ち方が、肉体にいろいろな影響を及ぼすんだ。肉体だけじゃないよ、その人の運命にも影響を与えるんだよ。だから人間は、どんなときでも心は断固として積極的な状態にしておかなければいけない。ズルいことをしたり、ラクをしたりしてはいけないんだ」

 もちろん、広岡が長年にわたって師事する中村天風の教えである。

続く

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#2に続く
「プロは結果がすべて。でも…」広岡達朗の“正義感”とは?「野村克也に嫉妬するわけないだろう」呼ばれなかった“ヤクルト球団50周年記念イベント”

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