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野球善哉BACK NUMBER
ミスターレオ・栗山巧が「最後の1年」を戦うわけ…“イチローと同じ境遇”に見た衰えぬ探究心「ファームでの学びの答えを見つける1年に」
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/11/28 17:01
ラストイヤーに何を見せてくれるのか。栗山巧が野球を探求する生き方の最終章がはじまる
「(一軍では)成績を出せなかったですけど、ファームで今やっている若い選手たちと僕も一緒に練習することができて、非常に発見もあったし、学びもあり気づくことも多かった。それを出すのが来シーズン。自分が追求しているものを言葉にするとどうなるのか、自分はどういう実感が得られるのかというのをずっと探していました。
その答えが見つかればいい結果が出るはずだし、後輩たちにもそういうものを伝えていけるし、そういう思いでずっとやってきました。そして、何か手応えがあれば、必ずチームの力になれると思っていました。非常に充実したシーズンを過ごせたからこそ、締めくくりの来シーズンはその答えを見つけたい」
最後にして最高の1年をくれた
来シーズンもプレーするから、現時点では感慨深いものはないと栗山はいう。いつものシーズンのように、自主トレ・キャンプを過ごし、優勝を目指すチームの一員になるつもりでいる。1試合1試合が引退試合。そういう目で見られることも多くなるだろう。だが、それは感慨深い思い出という場ではなく、栗山の求道者としての生き様を見せる最後のシーズンという意味合いだ。
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「自分が今までやってきたことをどこまで出せるか分かりませんけど、すべてを出し尽くして、必ず優勝すると。その一員としてメンバー入りして頑張っていきたい。プロとして今までずっと野球をやってきたんで、そういう技術をしっかり見せること、ファンの皆さんに支えてもらってここまで来れたんで、そういう感謝の気持ちを感じてもらえたらと思います」
節目の25年目のシーズンは、栗山にとって覚悟を持った最後の年になる。だが、それは栗山が球界からいなくなってしまうという寂しいメッセージではなく、栗山の思いを見届けることがもう1年できるというものであろう。栗山は、最後にして最高の1年を我々にくれたということである。
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