- #1
- #2
野球善哉BACK NUMBER
ミスターレオ・栗山巧が「最後の1年」を戦うわけ…“イチローと同じ境遇”に見た衰えぬ探究心「ファームでの学びの答えを見つける1年に」
posted2025/11/28 17:01
ラストイヤーに何を見せてくれるのか。栗山巧が野球を探求する生き方の最終章がはじまる
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
JIJI PRESS
うだるような暑さの中で、栗山巧はファームの試合に出ていた。二軍の若手選手の出場機会も必要だから、試合に出場しても2、3打席で退くことが多かった。それでも、その数打席のために最高の準備をする。栗山はそれを怠らなかったのだ。
9月10日のイースタン・リーグ、日本ハムとの試合。そんな栗山の途切れぬ集中力を見た。2打席目。カウント3ボールからの4球目にコンタクトしにいったのだ。紙一重の差で凡打となったが、調整のような形で試合に出場する中で3ボールから手を出しにいくというバッティングは、相当な集中力がないとできないものだ。栗山には、そんな数打席でも無駄にしない姿勢があった。
ファームでも常に先を見越して準備していた
広池浩司球団本部長は、ファームでの栗山の姿勢からは感じることが多かった、と証言する。
ADVERTISEMENT
「ファームでの姿には感心させられました。栗山のような選手は(一軍の試合では)劣勢の場面で出ていくことが多くて、相手の勝ちパターンのリリーフと対戦することがほとんど。しかも1打席勝負。これはとんでもなく大変なことなんですよっていうことを本人は熱弁していました。
(栗山は)それを見越してファームでも打席に立っていた。目の前の結果だけじゃなくて、先を見据えていた。その衰えない気迫っていうところには私自身も圧倒されたところがありました」
一軍で成績を残してきた栗山にとって、そこは「調整の場」ではなかった。いつ、出番が来てもいいような準備を続けていた。筆者はそんな場面に遭遇して、衰えぬ栗山の姿勢に驚愕したのはいうまでもない。

