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ドジャース佐々木朗希の「不調・故障→復活」はなぜ起きた? 改めて半年間の変化を“フォーム解析”第一人者が見る「カギは足の高さ、胸番号、お尻」
text by

赤坂英一Eiichi Akasaka
photograph byYukihito Taguchi
posted2025/11/27 11:00
佐々木朗希のシーズンのアップダウンを、投球フォームという面から第一人者に解説してもらった。左が4月、右が10月のフォームだが……
4月と10月のフォームを比較してみると……
「フォームの変化が一番顕著に現れているのは、佐々木くん独特の左足の上げ方です。離脱前の4月と、復帰後の10月の分解写真を見比べてみればよくわかりますよ。
4月は爪先が顎の位置までしか上がっていない。しかし、160km台の真っ直ぐを投げられるようになった10月は、足の裏が顔の上の位置まで上がって、爪先が頭近くまできている。
足が高く上がる時は、上げる時の勢いも全然違うんです。4月頃はゆっくりと足を上げていたけど、10月は勢いよく、速く大きく足を上げていた。そこがだいぶ改善されているなと思いました」
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左足を高く、勢いよく上げる動作は、速く、力のある球を投げることとどのような相関関係があるのか。
左足を大きく上げると何が改善するのか?
「投手は足を上げたら、次にその足を前に踏み出す。これは投手にとって“助走の一歩”なんです。やり投げは一定の距離を助走してから投げることができますが、投手は一歩の助走だけで大きなエネルギーを生まなきゃいけない。これが投球動作の要であり、一番の問題点なんですよ。
佐々木くんの場合、左足を大きく上げれば上げるほど、そのぶん軸足の右足でプレートを強く押すことができる。その時、彼はただ右足一本で突っ立っているわけではなく、足の裏でプレートとマウンドの地面を押しているんです。
高身長の投手は足を高く上げると上体が後ろへ反り返るタイプが多いのですが、佐々木くんは生まれつき体のバランスがよく、あれだけ足を上げても後ろに傾くことがない。常に真っ直ぐ立っていられるから、それだけ右足で地面を強く押すことができている。
そうやって強く地面を押しながら、上げた足を“助走の一歩”として前に踏み出す。右足で地面を押し続けて体重移動をすると、体の重心がより低い位置で、勢いをつけて前のほう、つまり投球する方向へいきます。ボールにしっかり体重が乗った状態で、ボールを前で離すことができるんですね。
4月のフォームの写真を見ると、足が高く上がっていないぶん、体重移動する際の重心のあたり(股関節)が高いことがわかるかと思います。この部分が、10月のフォームではもっと低い位置に下がっていることが見て取れるでしょう」
この次の局面で、佐々木は踏み出した左足を着地させ、ボールを投げる動作に入っていく。


