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「全力を尽くします」一度は受験保留も決断…福間香奈33歳は今度こそ“初の女性将棋棋士”になれるか「A級棋士相手に初勝利」した実力派女流も
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田丸昇Noboru Tamaru
photograph byKeiji Ishikawa
posted2025/11/18 17:00
2度目の棋士編入試験受験の権利を獲得した福間香奈女流六冠
霧島酒造杯第47期女流王将戦三番勝負は、西山女流王将に中七海女流三段(27)が挑戦した。
中は昨年9月に奨励会を年齢制限規定によって三段で退会。11月に女流棋士三段と認定された。それから10カ月後、女流王将戦の本戦トーナメント決勝で福間女流六冠に勝ち、挑戦権を初めて獲得した。
三番勝負は10月4日から始まり、囲碁・将棋チャンネルで生放送された。私は第1局で中の対局を初めて見た。ちょこんと座った小柄の姿は、大きく見えた西山と対照的だった。ただ将棋の指し手は厳しく、西山を見事に破った。大盤解説会に登場すると、ずっと着けていたマスクを外し、司会者に促されて感想をぽつりと語った。内気な性格のようだ。
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第2局で中は西山の振り飛車に対して、解説者の棋士が驚くような大胆な攻めにいった。将棋と外見は大きく違っていた。しかし西山にしっかりと受けられ、連勝は成らなかった。第3局は西山が貫禄を見せて完勝し、中の挑戦を退けた。二強の西山白玲、福間女流六冠の間に、中女流三段が割って入れるか、今後の勝負に注目したい。
伊藤沙恵はA級棋士・中村太地に初勝利
10月8日の王位戦予選で中村太地八段と伊藤沙恵女流四段(32)が対戦した。相居飛車から激しい攻め合いが繰り広げられ、中村は寄せにいって勝ちを目指した。ただ実際には難しい形勢だった。伊藤はきわどく逃れ、寄せ合いを制してA級棋士の中村に初めて勝った。終盤で読み負けしなかったことに価値があった。
伊藤は次に金井恒太六段、齊藤優希四段に勝つと、王位戦リーグに入れる。そして規定によって、棋士編入試験を受ける要件を満たす。福間とのダブル受験は果たして実現するだろうか……。〈将棋特集:つづく〉

