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「昌磨さんの言葉が響きました」佐藤駿を180度変えた宇野昌磨のアドバイス…自己ベストでGPファイナル進出「やってやったぞ、という感じで」
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野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2025/11/12 17:21
NHK杯フリーでは自己ベストを更新してトップのスコアを出し、総合で2位となった佐藤駿
「試合前のホテルでの過ごし方も、以前は緊張してソワソワしたり寝られなかったりしていました。今回は公式練習のあと20、30分の仮眠をとって、良い流れの中で試合に向けて気持ちを作っていけたと思います」
本番前の6分間練習では、ジャンプは各種類1回ずつに抑えた。
「本番への入り方や、6分間練習の使い方が、自分の中でもすごく成長したなと思います。自分で言うのもアレですけど、演技前、すごく落ち着いているなと感じていました」
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そう感じて臨んだフリーの本番。冒頭で軽やかな4回転ルッツを決めると、すべてのジャンプを次々と降りていく。演技を終えると、右手を軽く突き上げた。
「シンプルに嬉しかったです。危ないジャンプが1つもなくて、練習のまま本番で出せたという演技だったので、普通に嬉しかったです」
情熱的に「やってやったぞ」という感じ
自己ベスト更新の189.04点。結果的にフリーは鍵山をしのいで1位、総合で銀メダルとなり、日本男子一番乗りでGPファイナル進出を決めた。
「フリー1位はすごく嬉しいです。ファイナルにつながる点数だったと思います。まずはGPファイナルまで1カ月。まだスピンのレベルの取りこぼしもあったので、細かい部分を修正して、ケガも完璧な状態に治せるように頑張ります」
演技後、日下コーチの反応について聞かれると、照れながら答える。
「『ほんと良くやった!』と言ってくださって、僕よりも喜んでいたと思います(笑)」
でも……と続けて、自分の思いを言葉にする。
「コレオシークエンスは、会場と一体となって出来たと思います。GPファイナルではこれ以上に動いて、感情を、表現力を出していきたい。今回も情熱的に『やってやったぞ』という感じで、内心ではそれぐらいの気持ちでやっていました」
強気の表情やリアクションは見せない。それでも内なる炎を燃やしていく。自分が出せない感情は、コーチが代弁してくれる。佐藤流の戦い方で、世界の頂点を目指していく。


