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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ドジャース山本由伸、日本人初サイ・ヤング賞は厳しそうだが…身長178cmでも198cmライバルを上回る「3つの指標」“沢村賞と両獲り”への課題は
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2025/11/12 11:01
サイ・ヤング賞受賞こそやや難しそうとはいえ、山本由伸が2人のライバルを上回る指標とは
〈2013年ア・リーグ〉
シャーザー(タイガース)203ポイント
ダルビッシュ有(レンジャーズ)93ポイント
岩隈久志(マリナーズ)73ポイント
〈2020年ア・リーグ〉
ビーバー(インディアンス)210ポイント
前田健太(ツインズ)92ポイント
〈2020年ナ・リーグ〉
バウアー(レッズ)201ポイント
ダルビッシュ有(カブス)123ポイント
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ちなみにサイ・ヤング賞は1位票が7ポイント、記者数は30人なので210ポイントは1位票満票となる。なお、2021年にはエンゼルスの大谷翔平が規定打席、規定投球回数をともに満たし、サイ・ヤング賞投票で4位に入り82ポイントを獲得している。
ファイナリストの2投手と比較して、今年の山本が上回る要素はそれほど多くないので、サイ・ヤング賞の獲得は厳しいだろう。本命はサンチェス、山本は2位に入るかどうかが焦点ではあろう。
昨季の負傷もあってロバーツ監督が“気を遣った”か
山本の1年目は上腕三頭筋の怪我で60日間IL(負傷者リスト)に入り、18試合90回1469球しか投げられなかった。今季はシーズン通してローテを維持したが、中6日で投げることも多く、ロバーツ監督が気を遣った起用になっていた。そのために、登板数(30)も、投球回数(173.2回)も、他球団のエース級に比べればやや少なく、球数も2789球と3000球に満たなかった。
しかしこのポストシーズンでの獅子奮迅の活躍によって、ドジャース首脳陣も「限定解除」したとの認識を持ったことだろう。もちろん怪我、故障のリスクは付いて回るが、山本はオリックス時代の2021年には193.2回(2911球)、22年も193回(2909球)を投げている。両年ともにオリックスはリーグ優勝したので、山本はポストシーズンでもエースとして大活躍した。
200回、3000球は、未知の数字ではない。今年と同じクオリティを維持しつつイニング数をもう1割増やすことができれば、サイ・ヤング賞も夢ではないのではないか。
ただ1つの懸念材料は「球数」
ただ1つ、懸念材料を言えば、山本由伸は「球数が嵩みがち」なことがある。

