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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ドジャース山本由伸、日本人初サイ・ヤング賞は厳しそうだが…身長178cmでも198cmライバルを上回る「3つの指標」“沢村賞と両獲り”への課題は
posted2025/11/12 11:01
サイ・ヤング賞受賞こそやや難しそうとはいえ、山本由伸が2人のライバルを上回る指標とは
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
MVPとのW受賞は引退カーショウが最後
サイ・ヤング賞は、MLBでそのシーズン、最も活躍した投手に与えられる賞だ。NPBの沢村賞と比較されることが多い。ともに「大投手」の名前を冠した賞だけに、沢村賞はサイ・ヤング賞に倣って制定された、と思っている人もいるようだが――沢村賞は1947年制定、サイ・ヤング賞は9年後の1956年、前年にメジャー通算511勝の大投手、サイ・ヤングが死去。その偉業を顕彰するために始まった。
第1回で触れた通り、沢村賞は選考対象を「先発完投型の投手」に限定しているが、サイ・ヤング賞の対象は「最も優秀な投手」。1977年のスパーキー・ライル(ヤンキース)や79年のブルース・スーター(カブス)のように救援投手が選出されたこともあった。
沢村賞は制定された当初はセ・リーグの投手だけが対象だったが、89年から両リーグの投手が対象となった。これに対してサイ・ヤング賞は、当初は沢村賞と同様にア・ナ両リーグから1人選出だったが、1967年から両リーグで1人ずつ選ばれるようになった。
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本来MVPは、投手と野手の中から最も優秀な選手を選出する。ただ近年、野手はMVP、投手はサイ・ヤング賞と振り分けられる傾向にある。二刀流である大谷翔平以外の投手で最後にMVPを取ったのは、このほど引退を表明したクレイトン・カーショウ。2014年にMVPとサイ・ヤング賞をダブル受賞している。
MLBは、ア・ナ両リーグで3人の投手がファイナリストに残ったと発表した。選考は、全米野球記者協会の記者両リーグ各30人、計60人の投票で決まるが、投票はポストシーズンの前に締め切られていて、すでに投票済みだ。
2人のライバルと成績を比べてみる
ドジャースの山本由伸が選出されている、今年のナ・リーグのファイナリスト3投手の成績を見てみよう。WAR(Wins Above Replacement)はセイバーメトリクス系の総合指標。同じポジションの平均的な選手と比較しての傑出度を表している。代表的なデータサイトBaseball Reference(rWAR)とFangraphs(fWAR)が発表している。

