炎の一筆入魂BACK NUMBER
「もう後がないのは分かっています」盟友・磯村嘉孝も去り、来季いよいよ正念場を迎えるカープ堂林翔太34歳の心中とは
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前原淳Jun Maehara
photograph byKYODO
posted2025/11/10 06:00
今季序盤は四番を任されることもあったが、結果を残せず、打率.186にとどまった堂林
今季もチャンスがなかったわけではない。それどころか、思ったよりも早く絶好機は訪れた。開幕四番のエレフリス・モンテロが開幕3戦目に左脇腹を痛めて離脱。中軸不在となった開幕4戦目から四番に起用された。だが、気持ちとバットは空回り。4試合続けて四番起用されながら14打数3安打に終わり、その後は再びベンチから出場機会を窺う立場に戻った。
「巡って来たチャンスをつかめなかった。今年も使ってもらったのに、申し訳ない」
代打を中心に打席を重ねたが、打撃状態は一向に上向かない。7月11日に出場選手登録を抹消されると、そのまま二軍でシーズン閉幕を迎えた。
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もともと器用な打者ではない。シーズン2桁本塁打を3度記録したことはあるが、なかなか確たるものをつかみ切れない。2023年はチーム2位タイの12本塁打をマークしながら、その後は2年続けて1本塁打に終わった。感覚が少しでもズレると一気に崩れることもある。今季はオープン戦途中で打撃の感覚を崩し、そのまま立ち直れなかった。
来季への課題
二軍では状態が上向いた時期もあり、8月は月間打率.444をマークした。だが、9月上旬に自力でのクライマックスシリーズ進出の可能性が消滅したチームは、ほどなく若手の起用に舵を切った。それでも結果を残し続けなければいけない中で調子を維持できなかった。安定感の欠如は長年の課題でもある。
「これじゃダメだなというものを再確認できた時期でもあった。この立場ではいつ一軍でチャンスをもらえるか分からないのは当然。来年はもっと我慢が必要なシーズンになると思う」
2年連続Bクラスに終わったチームは、来季さらなる世代交代を推し進めるだろう。堂林が出番を窺う外野と一塁にはそれぞれ外国人選手がいる。さらに外野では中村奨成が台頭し、即戦力と期待される新人も加わった。競争はより激しくなる。

