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佐々木朗希24歳「それは過信になる」ロバーツ監督大はしゃぎのウラで…本人が繰り返した「大復活を遂げた理由」とは? 現地で見たドジャース連覇の舞台裏
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四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2025/11/07 17:03
ワールドシリーズ2連覇を達成し、大谷翔平と抱き合う佐々木朗希
佐々木の口調に“力強さが戻った日”
そこで浮上したのが、救援での復帰プランだった。左腕タナー・スコットらベテランの救援陣が不調続きで、ポストシーズンを前に最大の弱点に挙げられていた。周囲からの大きな期待をよそに、不本意なシーズンを送っていた佐々木にとって、たとえ不慣れでも、チームに求められる役割であれば、断る理由はなかった。マイナーでの救援2試合の試運転を終えた佐々木は、9月24日にメジャーへ復帰した。公式戦最後の1週間では2試合に救援し、いずれも無失点と好投した。時速100マイル(約161km)の快速球も復活し、口調にも力強さが戻ってきた。
「肩の状態が万全になったのと、フォームを修正して、自分の今の体で球速が出せる体の使い方を見つけることができたので、そこが要因かなと思います」
その時点で、デーブ・ロバーツ監督は、ポストシーズンでの起用法こそ明言しなかったものの、確かな信頼感を口にした。
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「今の彼は日本で投げていた頃のような投球を取り戻している。別人のようにすべてが格段によくなった」
「それは過信になる」フィーバー中も冷静だった
周囲から称賛の声が高まる中、ポストシーズンではクローザーの立場を任されることになった。フィリーズ相手の地区シリーズでは、2戦連続でセーブを挙げると、第4戦では8回からの3イニングを無安打無失点と、快投を演じた。地元ファンからスタンディングオベーションで迎えられただけでなく、シリーズ突破を決めた試合後には、シャンパンファイトの音頭を執ったロバーツ監督から「ロウキに乾杯だ」と労われ、思いっきり美酒に浸った。
それでも、佐々木が慢心するはずもなかった。
「この短期間で、実際フォームが良くない中で、ただ気持ちがポジティブになったところでそれは過信になってしまう。しっかり技術的なところに向き合ってやっていかなきゃと思っていた。毎日ちゃんと自分の中で納得できるまでしっかり調整して、試合に向かうようにしています」
最終的に、ポストシーズンでは、すべて勝ち試合の計9試合で救援し、3セーブ、2ホールド、防御率0.84と抜群の成績を残し、ドジャース連覇の原動力となった。

