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石井大智の告白「ずっと力の差を感じていた」阪神の絶対的リリーフエースが明かしたソフトバンクとの“決定的な差”「明らかに力負けです」
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鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/11/01 17:02
日本シリーズ第5戦の8回、柳田悠岐に同点弾を浴びた阪神のリリーフエース・石井大智
しかし、その絶対のリリーフエースが打たれてしまった。
8回。満を持してマウンドに上がった石井だったが、先頭の嶺井博希捕手に右前安打を許す。代打のダウンズ内野手は空振り三振に仕留めたが、ここで打席に入ったのが柳田悠岐だったのである。
初球だ。外寄りの150kmのストレート。振り抜いたバットに弾かれた打球は、左翼ポール際のスタンドに落ちていった。
石井大智「明らかに力負けです」
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「自分的には投げ切れた球だった。明らかに力負けです。信用できるボールで、自分のベストはやれたボールだったと思う。だからそこが力不足。技術、力……すべてにおいて劣っていたなと思います」
石井はこの一投をこう振り返った。
だが、この一打だけではなかったのである。シリーズを通して、ずっと心に秘めていた恐れをこう語る。
「打たれたから言うのではなく、ずっと力の差を感じていました。スイングも強いですし、セ・リーグとパ・リーグは野球が違う。どっちのレベルが高いという話ではないですけど、そこで通用しなかったなと思う」
実はこの言葉にこそ、今年の、いやここ10年以上の、日本シリーズの1つの真実が隠されているのかもしれない。
早くから指名打者制度を導入して、レギュラーシーズンから、常に投打のパワー野球が当たり前になっているパ・リーグ。それに対してセ・リーグは決してパワーがないわけではないが、投手力を軸にした緻密な守りの野球を掲げて、駆け引きを重視する日本的な野球を守ろうとしてきた。
だが、短期決戦では打てないと勝てないのである。2016年からの10年間の日本シリーズで、セ・リーグチ―ムが勝ったのは3度しかない。そのうち21年のヤクルト、昨年のDeNAはセ・リーグには珍しい打線のチームだった。
ソフトバンクと阪神の“大きな差”とは…
勝ったソフトバンクも、敗れた阪神も、投手力はほぼ互角だった。阪神打線は本塁打と打点の二冠に輝いた4番の佐藤を中心に、1番の近本光司外野手から5番の大山悠輔内野手までの上位打線は強力かもしれない。実際にこのシリーズ5試合の得点はわずか8点で、4戦までの6点は全て1番から4番までで挙げたものだった。しかしどこからでも点が取れたソフトバンクに比べて下位打線の弱さが目立ってしまった。そして山川穂高内野手の3試合連発を含めソフトバンクのシリーズ本塁打5本に対して、阪神は0本。決定的だったのは打線のパワーの差だったのである。
柳田の一発で追いついたソフトバンクが、最後に勝負を決めたのも本塁打だ。


