オリンピックPRESSBACK NUMBER
体操・最年長の杉原愛子26歳、驚異的な“復活金メダル”はナゼ起きた?「じつは“体重マイナス1キロ”の体調不良も」ハッキリ語った“悔しさ”の正体
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byGetty Images
posted2025/10/29 11:02
体操世界選手権・種目別ゆかで金メダルを獲得した杉原愛子
杉原がハッキリ語った“悔しさ”の正体
「個人総合の悔しさもあるので、それをバネに来年も世界選手権、名古屋でのアジア大会にも出たい。そこに向けて頑張っていきたいし、代表になれたら団体でのメダル獲得には強い気持ちがあるので、そこに向けて全力で取り組みにいきたい」
杉原ははっきりそう言った。23年12月に第一線に復帰した時も、今年5月にNHK杯で10年ぶりに優勝した時も、「先のことは考えず、目の前にあることに集中していきたい」と繰り返し言っていた杉原が、早くも来年の目標を掲げたのだ。
「今回の世界選手権は8年ぶりに個人総合に出場させていただいて、楽しみたいという気持ちで臨んだ大会だった。予選を終えると個人総合2位だったのが一番驚きで、メダルを狙える位置にいるんだという実感をそこで持つことができた。決勝ではメダルを目指したけど、段違い平行棒(の落下)でメダルを逃してしまい悔しさがすごく残った個人総合の試合になった」
ADVERTISEMENT
そこから気持ちを切り替えて臨んだ種目別平均台で銅メダルになり、ゆかでは金メダル。
「種目別では点数とか前の選手とかも全く見ずに自分の演技だけに集中して楽しんでできた。仲間の応援もしっかり聞こえて、周りに助けられてサポートして応援していただいているという思いを込めて、すごく楽しく演技をできた。その結果として村上本部長の次となる日本で2人目の金メダルを獲得することができ、本当に感謝の気持ちでいっぱい。悔しい気持ちと嬉しい気持ち両方を経験できた。
とてもいい世界選手権だった。わたしにとって学びも多かったし、次に向けての課題も明確になって、得たものが多かった」
ロサンゼルス五輪の開催時は28歳
6年ぶりの世界選手権で得た充実感により、杉原はさらにその先の2028年まで視野に入ってきたことを明かした。それだけではない。5月にNHK杯で優勝した時にはほぼ否定していたロサンゼルス五輪について、今回はこのように話している。
「この世界選手権の悔しさをバネに、来年へのモチベーションはアップしてきている。ここから1年1年、どうなっていくか分からないし、体的にもコンディション的にも分からないから、まずは目の前にあることに集中してクリアしていきたいと思うけど、でもロサンゼルスのオリンピックに向けては5月にコメントした時より前向きに考えています」
ロサンゼルス五輪の開催時は28歳。杉原自身が「味がある」と自負するように表情豊かで見るものを引きつける演技、道筋をきっちりたどりながら点数につなげていく高い経験値、そして何より、一度決めたら絶対にブレない強い意志を持つ杉原がそこにいれば、悲願の団体メダルを目指す日本女子にとって大きな力になるはず。個人総合でメダル争いに絡み、自己最高の6位入賞を果たした18歳の岸里奈を含め、3年後の楽しみを一層広げる世界選手権だった。


