リオ五輪PRESSBACK NUMBER
加藤凌平「4年間団体に懸けすぎた」。
リオ最後の演技で破った、安定の殻。
posted2016/08/17 17:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
JMPA
8月16日、リオ五輪の体操競技の締めくくりとなる種目別決勝最終日。
加藤凌平は、体操ニッポンの大トリとして種目別平行棒に出場した。
8月6日の団体総合予選で、日本チームの一番手としてあん馬の演技を行ってから、11日間で18度目(団体総合予選6種目、団体決勝5種目、個人総合6種目、種目別平行棒)の演技だった。
18歳で初出場したロンドン五輪では、団体総合予選と団体決勝で3種目ずつ、計6度の演技を行ない、すべてをノーミスでこなした。
そして、「次は個人総合で金メダルを狙う」と高らかな目標を掲げた。
リオではその野望を成就するには至らなかったが、団体決勝では内村の6種目に次いで多い5種目を完璧にこなし、日本の12年ぶり金メダル獲得に大いに貢献した。
重圧をものともしない強靱なメンタルと正確な技さばきは、内村をして「凌平は化け物」と言わしめるほどで、加藤の存在なしに日本は頂点には立てなかった。4年間でどれだけ成長したかは、予選と団体決勝の3日間で6演技だったロンドンと比較して11日間で18演技という数が雄弁に物語ってくれている。
「改めて自分が伸び悩んでいるんだと感じた」
「今、改めて自分が伸び悩んでいるんだと感じた。僕は停滞していた」
しかし、力ない声でそう言ったのは、11位に終わった個人総合の後だった。加藤は出だしのゆか、あん馬までは上位にいたが、3種目めのつり輪から上位との差が開きはじめ、5種目めに行なった得意の平行棒でも順位を上げられずに、最終種目の鉄棒を迎えた。
そして、落下した。