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阪神“あの天才左腕”は今、JAに勤務していた…じつは甲子園球場で流れる“お茶の紹介”仕掛け人に「荒茶の生産量、静岡は鹿児島に抜かれた…」
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岡野誠Makoto Okano
photograph byNumberWeb
posted2025/11/01 11:02
かつて阪神で活躍した田村勤さん
「茶の生産量、静岡は鹿児島に抜かれた」
「子供の頃から、お茶は身近なものでした。現役時代も、キャンプにお茶の箱と急須を持っていき、部屋に来る同僚に出していました。整骨院の時も、地元から仕入れて販売していたんです。今年、荒茶の生産量で、静岡は鹿児島に抜かれて、初めて首位から転落してしまった。すごく落胆しましたよ。JAのみならず、静岡全体で、茶産業の元気を取り戻したい」
アドバイザーという肩書きながら、配達の助手として30キロある茶袋を届け、茶工場の草むしりもする。知名度と人脈を生かし、営業にも精を出している。
「部長に頼まれたので、タイガースにも行きました。正直、気乗りはしなかったですね。昔の職場に顔を出したいですか? どの面を下げて戻ってくるんだって思われますよね。だからこそ、爪跡を残したいんです」
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転職直後、秋季練習中の古巣を訪れると、新任の藤川球児監督、平田勝男二軍監督、和田豊打撃巡回コーディネーターなどかつてのチームメイトが歓迎してくれた。以降、球団との交渉を重ね、田村は成果を上げた。
大仕事…甲子園でお茶を紹介
「今年5月から、甲子園で行われる阪神公式戦の全試合前に、オーロラビジョンとアナウンスで『JAおおいがわのお茶』を紹介してもらっています。他にも、阪神が勝利すれば、『マルチ安打賞』『ナイスリリーフ賞』を受賞した選手にJAおおいがわの茶ボトル缶1ケース24本を提供しています。阪神はOBを厚遇してくれる良い球団ですよ。8月には、二軍のSGLスタジアムでファーストピッチセレモニーに登板しました。JAおおいがわのPRを込めて。肩は痛かったけど、茶業が盛り上がればいいなと」
藤川監督と再会すると、脳裏に四半世紀前の光景が蘇った。田村が二軍でリハビリに励んでいる時、2年目の藤川が甲子園の舞台を目指し、鳴尾浜で黙々と練習に取り組んでいた。


