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ドラフトウラ話《オリックス2位指名》大阪桐蔭エースは“複雑な表情”で親友を語った…主将がまさかの指名漏れ「あまりに酷です…」部長もポツリ、記者が密着
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柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byYuji Yanagawa
posted2025/10/27 11:02
オリックスからドラフト2位指名を受けた森陽樹。右は同校野球部の西谷浩一監督
入学から2カ月後のバンテリンドームナゴヤで行われた愛知享栄学園の招待試合で両者はマウンドに上がって初めて日の目を見た。1年秋より共にベンチ入りを果たし、森は2023年の秋季近畿大会を制したチームの原動力に。両者は2024年の春と夏の甲子園にも出場を果たした。
両者が最上級生となった昨秋、主将となったのは中野だ。しかし、エースナンバーは森が背負った。昨秋は大阪大会で2位になるも、近畿大会初戦で敗れ、センバツ切符を逃した。そして最後の夏、中野は森から背番号「1」を奪うも、大阪大会決勝で東大阪大柏原に敗れた。同校が2季連続で甲子園を逃したのは6年ぶりのことであった。
指名後、森は言葉を慎重に選んだ
宮崎の出身らしくどこかおっとりした印象を抱く森に対し、中野は「ザ・関西人」のテンションでいつも明るく、マウンドでは魂魄を込めたようなピッチングで他校の高校球児を圧倒した。だが、投球術よりも気持ちの伝わってくる選手であるからこそ、高校生年代では勝ててもプロ入りしたあとの武器になるような変化球の特長が乏しく映ってしまう。そのあたりが荒削りながらも無限大の可能性を感じさせる森と評価がわかれた要因ではないだろうか。
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中野が指名を待っている間に、森の記者会見が開かれ、森は中野についてこう話した。
「今まで一緒に切磋琢磨してきた。プロの舞台で今度は敵として投げ合いたいという気持ちもある」
指名を願う中野の心中を誰より理解するからこそ、複雑な面持ちで慎重に言葉を選ぶ森がいた。
そしてドラフト会議の3日後、中野の姿は奈良県橿原市のさとやくスタジアムにあった。
〈つづく〉

