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「カオリが優勝でも良かった」海外の声も…17歳新星が優勝、表彰台独占となったGP開幕戦の舞台裏「坂本花織が中井亜美の手をとって…」微笑ましかった場面
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田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2025/10/26 17:00
GPフランス大会で表彰台独占となった日本勢。左から坂本花織、中井亜美、住吉りをん
「カオリが優勝でも良かった」という声も
中井の快挙を祝福する一方で、現場で見ていた海外の関係者たちの間では「カオリが優勝でも良かったね」という意見もあった。実際坂本も224.23というシーズンベストスコアを出すほどの出来だった。
ブノワ・リショー振付のSP「Time to Say Goodbye」では、ジャンプに普段ほどの流れがなかったとはいえ、3ルッツにエッジ注意マークがついた以外はノーミスで76.20を獲得。そしてマリーフランス・デュブレイユ振付のエディット・ピアフメドレーのフリーでは、多くの修羅場を乗り越えてきた坂本ならではの迫真の演技を見せた。
この会場の記者席は3階で、リンクを上から見下ろす位置にあった。氷をブレードで切るようにしてリンク全体をくまなく使う坂本のスケーティングは別次元のもので、上から見るとそれがさらに強調されて圧巻だった。
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もっとも最後のスピン2種類の要素不足で基礎点が下がった影響は大きく、演技構成点では圧倒的な1位だったが、中井との技術点の点差をカバーしきれなかった。
坂本本人は、2位だったことを「全然、納得の結果です」と彼女らしくあっさり冷静に受け止めた。「シーズン後半みたいな点数。220を超えてもやっぱり優勝できないというのは……。でもこうやって最後まで自分の結果がわからないというのは、すごいワクワクするし、このドキドキ感ってすごい特別だなと感じました」と感想を述べた。
坂本も17歳で平昌オリンピック代表に
デビュー戦で優勝した中井と自分のシニア初年度の比較について聞かれると、「いやもう(中井は)全然自分とは比べ物にならないくらいすごい堂々としている」と開口一番絶賛した。坂本自身、8年前に17歳でシニアGPデビューをし、そのシーズンに2枠しかなかった平昌オリンピックの代表に選ばれた。
「自分もシニア1年目の時のGP1戦目はすごく緊張もしたし、全然オリンピック候補ではなかったので。そこから這い上がれて最終切符まで取れるというのも自分自身経験してきたことなので、そういう可能性も亜美ちゃんにはあるし、そういうのを知っているからこそ気を抜いていられないなという感じはします」


