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「カオリが優勝でも良かった」海外の声も…17歳新星が優勝、表彰台独占となったGP開幕戦の舞台裏「坂本花織が中井亜美の手をとって…」微笑ましかった場面

posted2025/10/26 17:00

 
「カオリが優勝でも良かった」海外の声も…17歳新星が優勝、表彰台独占となったGP開幕戦の舞台裏「坂本花織が中井亜美の手をとって…」微笑ましかった場面<Number Web> photograph by Getty Images

GPフランス大会で表彰台独占となった日本勢。左から坂本花織、中井亜美、住吉りをん

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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 10月17日、フランスのアンジェで開催されたGP開幕戦、フランス大会で日本女子が表彰台を独占した。海外で開催されたGP大会で日本女子が表彰台を独占したのは、昨シーズンのスケートカナダで坂本花織、松生理乃、吉田陽菜がメダルを獲得して以来、2度目の快挙である。

 だが今回アンジェでのサプライズは、シニアGP初挑戦だった17歳の中井亜美が坂本花織を抑えて初優勝を決めたことだった。

 SPはデイヴィッド・ウィルソン振付によるニーノ・ロータの「道」で、冒頭の3アクセルをきれいに決めた瞬間、会場が歓声に包まれた。続いた3ルッツ+3トウループ、3ループも成功させ、表情豊かに滑り切った。78.00のスコアが出ると、キス・アンド・クライで本人も隣に座っていた中庭健介コーチも信じられない、という驚きの表情を見せた。「70点は超えるだろうなと思っていて、自分は73点くらいかなと思っていたんですけど、まさか78点もらえるとは思っていなかった。やってきたことがちゃんと出せたからなのかなと思います」と喜びを言葉にした。

「失敗してよく泣いていた」過去

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 フリーは宮本賢二振付の「What a Wonderful World」で、冒頭の3アクセルで手をつくも、ミスを引きずることなく残りのジャンプをノーミスで決めた。フリーは149.08。総合227.08と、今季の女子の最高スコアを叩き出した。唖然とする中井を中庭コーチが労わるように背中をさすると、大粒の嬉し涙を流した。シニアデビューの大舞台で力を出し切った本番強さ。その秘訣は何だったのか。そう聞くと中井はこう答えた。

「緊張はめちゃくちゃするタイプなんですけど、小さい頃はそこまで本番に強い子ではなくて結構試合でも失敗してよく泣いていた。最近は練習から変わってきて、試合に向けて自分でしっかり追い込めるようになっていて。前は先生から言われないと追い込めていなかったし、足りていないのが分かっていなかったので、今は全部自分のやるべきことが分かっているので、そこが勝負強さになっているのかなと思います」

 昨シーズンの世界ジュニアでは、表彰台を逃して4位に終わり、その悔しさをバネにして一念発起したのだという。「これが変なプレッシャーにならないように、こういう演技がこれからもできるように。もっとスケートを楽しむことを忘れずに次の試合も頑張りたいと思っています」

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