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「ネガティブではない、求められる場所でがんばる」カープ栗林良吏が来季先発に転向するチーム事情と、新井貴浩監督の決断の背景 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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posted2025/10/27 11:00

「ネガティブではない、求められる場所でがんばる」カープ栗林良吏が来季先発に転向するチーム事情と、新井貴浩監督の決断の背景<Number Web> photograph by JIJI PRESS

今季は55試合に登板、10セーブ23ホールドの成績を残した栗林

 そんな栗林でも、先発転向の打診には驚きを隠せなかった。9月19日、東京ドーム。試合に向けて打球音やファンの声があふれる中、中堅付近で新井監督としばらく2人だけの時間を過ごした。

「『先発どうだ』とストレートに言われたわけでなく、新井さんがずっと考えていたことを話していただいた。投球の幅も広がると思うと話していただきましたし、僕からも『今は9回に戻るために投げているという感情はまったくない』ということを伝えました。先発に回ることをネガティブに考えてはいませんでした」

 栗林自身に抑えへの強いこだわりがあれば、新井監督も中継ぎとして勝負させていたに違いない。ただ、あの日の目に見えない2人のキャッチボールが答えとなった。出場選手登録が抹消された9月27日、栗林は監督室に呼ばれ、先発転向が正式に決まった。

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「先発として求められているのであれば、先発でがんばりたい。監督の期待に応えたい。監督が使いやすい投手になりたい。そう思っています」

先発の柱として

 先発でも柱となることが期待されている。もちろん自覚はある。同時に、責任感が強いからこそ不安も募る。

「不安をとりのぞけるように、例年以上にオフへ向けて気合が入っていますし、自信を持ってキャンプに入れるようにがんばりたい」

 例年とは違うオフになりそうだ。長いイニングを投げるスタミナや制球力を上げる必要性を感じている。打たれた後、翌日まで猶予のある中継ぎとは違い、たとえ初回に失点しても、2回、3回とマウンドに上がり続けなければいけない。

 プロではまだ見ぬ世界へ飛び込む覚悟を決めた。30歳となる来季へ向け、まっさらなマウンドに上がる準備を進めていく。

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