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日々是バスケBACK NUMBER
「コーチする中で一番好きな選手だ。内緒だよ」すっかり“古株”な八村塁にレイカーズ指揮官が託した“新しい役割”とは? レブロンと目指すNBA優勝
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宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byImagn/Reuters/AFLO
posted2025/10/24 17:03
レイカーズに加入して4年目を迎える八村塁(28歳)
「ルイとは、9月(のトレーニングキャンプ前)にいっしょに時間を過ごした。そのときに彼に伝えたことがある。それは、彼はいつでも、まわりに伝染するような喜びを持っているということ。彼が今後の成長のためにすることは、自然に湧き出てくるその喜びとポジティブなエナジーをもっと活用して、まわりと話すべきだということだ。コート内でも、コート外でもだ。
このチームのカルチャーにおいて、彼はとても重要なひとりで、その役割を自覚する必要があると言った。前から言っているように、リーダーシップにはいろいろな形がある。ルイは、ものすごくよく話すような存在にはならないと思うけれど、彼のポジティブなエナジーと喜び、そして一貫したアプローチは彼のリーダーシップの形であり、それはチームにとって重要なんだ」
そう言った後に、少し声を潜めるように「コーチする中で一番好きな選手だ。内緒だよ」とつけ加えた。
コーチに必要とされる存在になる
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実際に、八村はトレーニングキャンプで若手選手たちからアドバイスを求められることも少なくない。ロスターが保証されていない選手のひとりから、「どうやったらチームにフットイン(合わせて入り込むことが)できるか」と聞かれたこともあったという。
八村の場合はドラフト1巡目指名でNBA入りし、ウィザーズでもレイカーズでも、常にローテーションに入ってプレーしてきたので立場は違うが、それでも大学時代にチームの中心選手だったときとは、NBAでの役割は変わってくる。自分の役割は何なのか、どうしたらチームに貢献できるのかを考え、たとえ脇役であってもコーチに必要とされる存在になってきた。
「自分の役割を見つけて、どうすればフィットインすることができるかを考えなくてはいけない。このチームで何ができるか、何を求められているのかを自分で見つけなくてはいけない。何をしたらいいのかを教えてもらえるわけではないからね。僕にとっては、それが3ポイントを積極的に打つことであり、リバウンド、トランジションで走ること、身体を使って攻守でよりフィジカルにプレーすることだった。映像を見て、主力の選手たちといっしょに多くの試合をすることで、毎試合学んでいった。そうすることでケミストリーを築いてきた。自分で感じて、フィットインしなくてはいけないんだ」
そうやって自分の力でチーム内での役割を勝ち取り、コーチからの信頼を得られるようになる。それができてきたという手ごたえがあるからこそ、レディックHCが見たような自信を持てるようになってきた。
「自信は経験からですよね。経験してきたことがこの自信につながっていると思うので、そこはどんどん続けてはいかないといけないとは思います」

