テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER

「逆に言えば…」大谷翔平は“ロバーツ監督の苦言”に微笑んだ「ショウヘイ! ワオ!」カーショウもフリーマンも激レア150m弾フリー打撃に興奮 

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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posted2025/10/24 11:04

「逆に言えば…」大谷翔平は“ロバーツ監督の苦言”に微笑んだ「ショウヘイ! ワオ!」カーショウもフリーマンも激レア150m弾フリー打撃に興奮<Number Web> photograph by Naoyuki Yanagihara

ナ・リーグ優勝決定シリーズ会見での大谷翔平。ロバーツ監督の“苦言”について直接聞いてみると?

 対左投手へのアプローチ、登板日や登板翌日の打撃について、二刀流をPSで両立させる難しさなど多種多様な質問が飛び、大谷も苦笑いしていた。「基本的にはストライクをしっかり振って、ボールを見逃す。打席のクオリティーを高めていくことが一番最初にやるべきこと」と巻き返しを誓っていたが、中盤から内容が異なる打撃の質問にも「さっき言った通りですね。同じ質問なので」と素っ気なく返すこともあり、少しいら立っているようにも見えた。日本メディアの順番となり、質問が進んでいった。私は先の米メディアの件もあり、打撃の質問をするか迷ったが、意を決して事前に聞きたかった質問を投げかけた。

「11日にロバーツ監督が『このパフォーマンスのままではワールドシリーズは勝てない』と仰っていました。今までの監督がここまで厳しい言葉を発することはなかったと思いますが、率直にどう感じましたか?」

 大谷はこう答えた。

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「逆に言えば、(ロバーツ監督は大谷が)打てば勝てると思ってるのかなと思うので。頑張りたいなとは思っています」

 短い言葉だったが、大谷は少し頬を緩めた。「打ちますよ。見ていてください」と言わんばかりの笑顔だった。本心は分からないが、少なくとも私にはそう感じ取れた。

772日ぶりフリー打撃で衝撃の特大弾

 会見後、先発2日前とあってキャッチボールを行った後はブルペンで30球を投げ、クラブハウスへと戻っていった。その後、「ライブBP」(実戦形式の打撃練習)がグラウンドでスタート。打球直撃の恐れがあるため、球団から報道陣はグラウンドを出るよう指示され、5階の記者席へ上がってひと息ついたその時だった。誰もが無言で記者席からスマートフォンのカメラをグラウンドに向け始めた。大谷がバットを持ってグラウンドに出てきた。

 極めてレアな大谷の姿に報道陣だけでなく、選手、首脳陣もくぎ付けだった。キャンプではこなすが、シーズン中の屋外フリー打撃は移籍2年目で初めて。1セット目の初球を空振りすると、大きな笑い声が起こった。その後は徐々にスイングが熱を帯び、最終的には32スイングで、驚異の柵越え14本。150メートル弾の他にも3連発や、右中間の「DAISO」看板付近まで飛ばす推定140メートル弾など圧巻のパフォーマンスで復調を予感させた。

 2021年から疲労蓄積による故障予防や「外で打つともっと飛ばしたいと余分な動きが出てくる」という理由で、大谷はシーズン中に原則、フリー打撃を行っていない。今春キャンプでもわずか1度だけ。シーズン中のフリー打撃はエンゼルス時代の23年9月4日オリオールズ戦の試合前以来、実に772日ぶりだった。

カーショウもフリーマンも「ショウヘイ!ワオ!」

 そして、最終5セット目の3スイング目だった。

【次ページ】 カーショウもフリーマンも「ショウヘイ!ワオ!」

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