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「手を抜くと、また1秒差で負ける」箱根駅伝予選会に2年ぶりに登場した東農大“怪物”エースの苦悩と安堵「おっかないですけど、2区区間賞を取りたい」

posted2025/10/20 17:01

 
「手を抜くと、また1秒差で負ける」箱根駅伝予選会に2年ぶりに登場した東農大“怪物”エースの苦悩と安堵「おっかないですけど、2区区間賞を取りたい」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

2年前の予選会では1年生ながら日本人トップだった前田だが、昨年は体調不良で走れず、チームは1秒差に泣いた

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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Yuki Suenaga

 17.4kmの通過順位は5位。10人が21.0975kmのフィニッシュラインを通過したのは12番目だった。10人の合計タイムで出場10枠を争う箱根駅伝予選会の結果は、読めそうで読めない。午前10時13分、「第6位、東京農業大学」とアナウンスされると、ようやく胸をなでおろした。10000mで27分21秒52の日本学生記録を持つ3年生エースの前田和摩は、結果発表を待つ約40分間、ずっとドキドキしていたという。

落ちてもおかしくないと思っていた

「まったく心の余裕はなかったです。公園の中(コース終盤)で順位が変動しているかもしれなかったので。予選通過しているかもしれないし、正直、落ちてもおかしくないと思っていました。喜びの感情が一気にばっとあふれてきたのは、ほっと安心したあとでした」

 1年前の記憶は鮮明に残っている。1秒差で11位となり、失意の落選。仲間が悔し涙を流す姿を見ながら、呆然と立ち尽くした。昨年の夏前に、肺に穴があく気胸を患った影響で出走できず、どうすることもできなかった。そのとき、心に誓った。

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「もうみんなにこんな顔をさせたくない。次は自分が走って、絶対に勝つ」

 あの日以来、1日たりとも立川での涙を忘れたことはない。今年は昨年以上に最後の踏ん張りが利くようになった。練習で苦しくなるたびに「少しでも手を抜くと、また1秒差で負けてしまう」と自らに言い聞かせてきた。

2大会ぶりの予選会登場

 あれから1年。予選会のスタートラインに立つと、すっと肩の力を抜いた。レースプランはシンプル。日本人の先頭集団に最後まで食らいついていく。役割はエースとして、タイムを稼ぐことである。14km手前の昭和記念公園内に入るところまでは想定どおり。終盤から一気にペースを上げて、なるべく早くライバルたちをふるい落とすつもりだった。

「ラストスパートの勝負になったときに、勝てるような練習はできていなかったので」

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