スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
「余計なストレスは走りにマイナス」雑用は4年生まで全員で…出雲駅伝“古豪の復活”を生んだ「プチ改革」のウラに“化けた4年生主将”の存在アリ
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph byYuki Suenaga
posted2025/10/15 17:00
学生三大駅伝で久しぶりに優勝争いに絡んだ早稲田大。アンカー・工藤慎作がゴールテープを切った
「もし、箱根で同じ展開になったとしたら、同じレースをします。前半からしっかり突っ込んで、粘る。迷いはないですね」
今回の出雲では、先頭の中央大からは23秒差の10位でタスキを受けたが、先行する創価大をターゲットにした。
「向かい風が強かったので、前半は速めに入りつつ、中盤のタメを作ることを意識しました。創価大学の小池(莉希)君の後ろにつかせてもらいながら走って、理想的なレースが展開できたと思います」
ADVERTISEMENT
この言葉からは、積極的に突っ込んだ昨年度の駅伝の経験値だけでなく、1500m、5000mの駆け引きのなかでの引き出しが増えていることをうかがわせる。真のエースらしい走りだったが、早稲田のキャプテンらしく、もっと自分の仕事は出来たはず、と振り返る。
「自分の役割としては最低限の走りです。区間賞を獲ること、それに後続との差を広げることを求められていましたけど、もう少し離しておけば、3区から5区の1年生がもっと楽に走れたと思うので」
小さなチームカラーの変化も影響?
今年の早稲田は風通しが良い。夏合宿では4年生のアイデアで、部屋割りや食事当番の仕組みが変わっていた。
昨年度までは合宿の部屋割りも、気の合う選手同士が同部屋になっていた。所定の用紙に書き込めば良い制度だったため、メンバーが固定化する傾向が強かった。また、今年は食事の支度も1年生に任せるのではなく、縦割りで1年から4年までが一緒に取り組むようになった。

