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「余計なストレスは走りにマイナス」雑用は4年生まで全員で…出雲駅伝“古豪の復活”を生んだ「プチ改革」のウラに“化けた4年生主将”の存在アリ
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生島淳Jun Ikushima
photograph byYuki Suenaga
posted2025/10/15 17:00
学生三大駅伝で久しぶりに優勝争いに絡んだ早稲田大。アンカー・工藤慎作がゴールテープを切った
「オーストラリアでは自炊生活も良かったです。栄養士の先生とも相談して、とにかく炊き込みご飯で乗り切りました(笑)」
競技だけでなく、生活面での自立、マネージメントが山口をひと回り大きくしたように感じる。
トラックシーズンは、存在感を放った。5月、関東インカレは10000m日本人トップの3位。6月、日本インカレ。日本人初となる1500mと5000mの2冠。そして7月の日本選手権の1500mでは2位に入った。しかも、日本選手権では自重するのではなく、中盤から自分が仕掛けての内容だった。
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「最近、1500のレースって始まると、みんな自重してラスト勝負になることが多いじゃないですか。300mを終えた段階で、『また、これ?』という感じになるのが嫌で、中盤の揺さぶりがあって、ラストスパートの勝負とか、いろいろ駆け引きがあった方が見ていても面白いですよね」
レースでのムラがなくなり、エースの風格が…
自分からレースを動かす気概が頼もしい。
昨年度まで駅伝でもムラがあった。全日本では19位でタスキをもらったが、5位にまでチームを浮上させ、エースらしい走りを見せた。
箱根ではエース区間の2区を担当。4位で出発すると、積極的に突っ込んだ。しかし、中盤からは苦しい走りとなり、順位を落とした。それでも、この走りに悔いはないという。

