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佐々木朗希は来季ドジャース守護神…って早計なの? 背景に「米球界でリリーフが低年俸・冷遇問題」グラスノー49億円、山本由伸21億円だが
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byNorm Hall/Getty Images
posted2025/10/13 11:00
リリーフで好投を続ける佐々木朗希。クローザーとしての未来を見てみたい気もするが、メジャー特有の年俸事情も勘案する必要がある
レッズ戦 1回0被安打2奪三振 自責点0
さらに地区シリーズでは佐々木は何と3試合とも登板した。
フィリーズ戦 1回1被安打1奪三振 自責点0 S
フィリーズ戦 0.1回0被安打0奪三振 自責点0 S
フィリーズ戦 3回0被安打2奪三振 自責点0
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と圧倒的なパフォーマンスを見せた。特に地区シリーズ第4戦、勝ち抜けがかかった試合で佐々木は7回、2番手シーハンからマウンドを引き継ぎ、3回をパーフェクト、36球で本塁打、打点王のシュワーバー、首位打者ターナーを含む9人の打者を退けた。
ロバーツ監督にしてみれば、「藁にも縋る」思いで起用した佐々木が「太い命綱」になったわけだ。
じゃあ、来季はクローザー…と簡単にならないワケ
この活躍を見て「佐々木にはクローザーの資質があったんだ。じゃ、来季はドジャースのクローザーだ」と思う人がいてもおかしくないが、話はそこまで単純ではない。実際、佐々木は週刊文春電子版の取材に対して〈来シーズン以降は先発でチャレンジしてもらうという前提での話〉と球団の方針について示唆している。
そもそもMLBでは、先発投手(Starter)とクローザーやセットアッパーなど救援投手(Reliever)は「別物」と言ってもいいポジションである。
NPB同様、MLBでも多くの救援投手は、マイナー時代までは先発の経験を有している。しかし、救援に転向してからは、先発とは全く別のスケジュールでペナントレースを戦っている。そして年収も全く異なっている。先発と救援投手の1年分に換算した年俸(推定)の5傑。年齢の※マークは左投手。
〈先発投手〉
ウィーラー(フィリーズ)35歳
4200万ドル
デグロム(レンジャーズ)37歳
4000万ドル
グラスノー(ドジャース)32歳
3250万ドル
スネル(ドジャース)32歳※
3130万ドル
バーンズ(Dバックス)30歳
3083万ドル
〈救援投手〉
ヘイダー(アストロズ)31歳※
1900万ドル
ディアス(メッツ)31歳
1831万ドル
イグレシアス(ブレーブス)35歳
1600万ドル
イエーツ(ドジャース)38歳
1300万ドル
チャップマン(レッドソックス)37歳※
1075万ドル
先発投手で最高年俸のフィリーズ、ザック・ウィーラーの今季年俸は4200万ドル(約63億円/以下すべて1ドル=150円)。以下、レンジャーズのジェイコブ・デグロムが4000万ドル(約60億円)、ドジャースのタイラー・グラスノーが3250万ドル(約48.7億円)、同じくブレイク・スネルも3130万ドル(約46億9500万円)。
救援投手の年俸が低い“決定的な要因”とは
これに対して救援は、最も高額の救援投手とされるアストロズのジョシュ・ヘイダーが1900万ドル(約28.5億円)、メッツのエドウィン・ディアズが1831万ドル(約27.4億円)、ブレーブスのライセル・イグレシアスが1600万ドル(約24億円)。MLBのトップクラスの救援投手の年俸は先発投手の半分以下、と見なしていい。

