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佐々木朗希は来季ドジャース守護神…って早計なの? 背景に「米球界でリリーフが低年俸・冷遇問題」グラスノー49億円、山本由伸21億円だが
posted2025/10/13 11:00
リリーフで好投を続ける佐々木朗希。クローザーとしての未来を見てみたい気もするが、メジャー特有の年俸事情も勘案する必要がある
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広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Norm Hall/Getty Images
今年の3月、MLBの開幕戦の時点で、佐々木朗希がこういう結末を迎えると予想した人は誰もいなかっただろう。
「時期尚早」と多くの人が思うタイミングで、佐々木は千葉ロッテマリーンズからロサンゼルス・ドジャースにポスティングシステムで移籍した。しかし「25歳未満、キャリア6年未満」だったためにマイナー契約で、古巣の千葉ロッテへの譲渡金は、ドジャースのチームメイト山本由伸の29分の1となる、約2億円だった。
防御率壊滅リリーフ陣の救世主に
ドジャースでは東京ドームで行われた開幕2戦に先発登板。以後8試合に先発登板するも、制球難に苦しみ、1勝1敗、防御率4.72に終わる。5月に「インピンジメント症候群」と診断。IL(負傷者リスト)入りする。リハビリを経て8月にAAAオクラホマシティで投げるも先発では結果が出ず。しかし救援に転向した9月、投手ディレクターのロブ・ヒルらの働きかけもあり、マイナーの2試合で1被安打4奪三振と目覚ましい結果を残したことから、デーブ・ロバーツ監督は急遽、佐々木をメジャーに呼び寄せた。
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〈8、9月のドジャースの救援陣〉
ロブレスキ 15試1勝2敗2S24.2回 率4.38
ドレイヤー 25試1勝0敗3S23回 率3.13
トライネン 22試2勝5敗0S 17.2回 率6.11
バンダ 21試0勝0敗0S17回 率2.12
エンリケス 19試2勝1敗1S16.2回 率2.70
ベシア 17試2勝2敗1S15回 率4.80
スコット 14試0勝2敗4S11.1回 率7.15
カスぺリアス 14試0勝1敗1S11.1回 率3.18
イエーツ 11試0勝0敗0S10回 率8.10
強いチームなら当然いるはずの「防御率1点台のクローザー」は不在。そもそもクローザーを固定することもできない状態だった。ロバーツ監督は恐らく藁にも縋る思いで佐々木を救援で起用したが、シーズン最終盤の2試合で佐々木は、目覚ましい活躍を見せた。
ダイヤモンドバックス戦 1回0被安打2奪三振 自責点0
マリナーズ戦 1回1被安打2奪三振 自責点0
今や朗希はロバーツ継投の「太い命綱」
一躍ドジャースのポストシーズンの戦力を満たす「最後の1ピース」となった佐々木は、ワイルドカードシリーズ以降、さらに本領を発揮する。

