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“大一番に強すぎ”お祭り男キケは「ベンチでアイスぺろぺろ」、「戦力外の苦労人→救世主捕手」ロートベットは猫好き…ドジャースは名脇役もステキ
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茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byMediaNews Group/Pasadena Star-News via Getty Images
posted2025/10/05 06:00
キケ・エルナンデスを迎え入れる“救世主捕手”ロートベット。ドジャースは脇役陣も趣深い
【ベン・ロートベット】
守備位置:捕手、通算1試合だけ投手
1997年9月25日生まれ:28歳/アメリカ
右投左打、175cm95kg
今季のトレード期限の補強で加入。とはいえ前所属のレイズではDFA(メジャーにおける事実上の戦力外)となっていて、前年のエドマンほど注目されていなかった。そもそもレギュラーシーズン4シーズンの通算成績を見ると……「227試合 打率.190 9本塁打52打点」と、お世辞にも抜きんでたものはない。
ツインズに指名されたドラフト会議では2巡目(全体56位)と、ある程度の期待は受けたのだろうが、その後は日本のプロ野球でもそうそうお目にかかれないほどの“苦労人”である。
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ロートベットはケガや体調不良などに苦しみ続けた。ヤンキースに在籍した2022年は脇腹、膝の半月板損傷と故障が続き、特にヒザはこれまで3度の手術歴がある。さらに試練が襲ったのは翌2023年キャンプ中で、左肩付近に動脈瘤が見つかった。〈早期特定出来ていなかったら切断しかない状況だったかもしれない〉とのことで、不運に泣いてきた野球人生だったと言える。
ようやく彼の野球人生にチャンスが巡ってきたのが、今年9月のこと。ドジャース捕手陣のスミス、ラッシングが立て続けにケガで離脱する緊急事態で、メジャー昇格を果たした。不安視された中で……ロートベットがマスクを被って以降、スネルや山本、大谷にカーショウ、シーアンといった先発陣の好投をリード面で支え、ナ西地区優勝に貢献した。
なぜ「猫の特注グローブ」を持っているのか
そんなロートベット、「猫の顔」が一面に刻まれた特注グローブを保有している。これは前述した動脈瘤の手術リハビリ中に飼い始めた「サリー」という名前の愛猫で、その存在に心を救われたからと、ニャンとも心温まるエピソードである。
グラウンド内外で“ステキなヤツ”ばかりのドジャースを見ていると、野球はベンチメンバー全員で戦うものだということを改めて再認識する。来たる地区シリーズ以降の戦い、大谷・山本・佐々木だけでなく、彼ら名脇役の活躍からも目が離せない。〈ドジャース特集:つづく〉

