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「ダイさん!私を出して!」ルーキーの直談判がチームを変えた? “呪縛を解いた”大阪マーヴェラスが「SVリーグ連覇」を宣言する理由
posted2025/10/08 11:00
SVリーグ初代王者に輝いた大阪マーヴェラス。キャプテン田中瑞稀は「連覇」を公言した
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yohei Osada/AFLO SPORT
「連覇」についてたずねると、いきなり出鼻をくじかれた。
「負けて、ホッとしたんです」
連覇の極意ではなく、まず「負けた試合」を振り返ったのは、昨季SVリーグ初代王者に輝いた大阪マーヴェラスの田中瑞稀だ。
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在籍12年目。29歳のアウトサイドヒッターが浮かべる笑顔には、余裕が含まれていた。
「勝ちたいだけじゃなく、勝たなきゃいけないと思いながら戦うのはしんどい。それまではずっと勝ち続けなきゃいけないと思っていたから、あの時、負けて、ホッとしたんです」
シーズン序盤で喫した“連敗”
田中が振り返る“あの時”とは、昨季開幕から間もないデンソーエアリービーズとの連戦だ。ブラジル代表オポジットのロザマリア・モンチベレルを擁し、開幕から6連勝と波に乗る相手に連敗を喫した。
マーヴェラスの好守の要、アウトサイドヒッターの林琴奈はパリ五輪を終えたばかりでコンディションが整っていない。加えて、指揮官も9シーズンチームを率いた吉原知子から酒井大祐に託されたばかり。チームとしてどう戦うか――構築されている状態には程遠い段階での敗戦だった。

