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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「オーディションを間違えてプロレスラーに」“スターダムの新空手ガール”さくらあやが語る“芸能界での苦悩”「仕事は3年間で3回…軽い洗脳ですね」
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/09/26 17:04
スターダムで活躍するさくらあや。アクション俳優を目指していた彼女が、プロレスの道に進んだ理由とは
「そこからまたオーディション回りです。もう24歳だったから、年齢で振り落とされるところも多くて。こういう話をすると『挫折してきたよね』っていろんな人から言われるけど、私はカフェバーでも、JAEでも周りの人に恵まれて、そのときどきで楽しく生きてきたんです。だから挫折という言葉にピンとこない」
「女優募集」と「練習生募集」を間違えてプロレス界へ
さくらは次のステップに移る。
「ふと1回就職しようと思って、就活を始めました。新宿の若者のハローワークに通って、『ここどうですか』とか言われて。そんなとき知り合いから『芸能とかやっている子で社会人のインターンを探してるところがある』と。面接を受けてほぼフルタイムで働き始めた。土日は撮影会でモデル。中学生の頃からポートレートモデルみたいなことやっていて、写真でいろんな自分を残すことが好きなんです」
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芸能での成功を目指すには、年齢的なリミットが迫っていた。
「周りは結婚して、子供も産んでいる。このまま何もせずでいいのかなあ、と。オーディションの応募を1日何件ってノルマ決めてやっていたら『プロレスラーを演じられる女優募集』というのが目に入ったんです。なんかその応募のリンクが切れていて、スターダムの公式サイトからやったら、間違って『練習生募集』に応募していた。オーディションの時も気づかず、『合格』って言われて『うれしい! 映画出られる』って思ってました」
さくらは素直に喜んでいた。
「合格したその日、スターダムの試合を見に行くことになった。一緒にオーディションを受けたHANAKOに、私が『映画のこと何も言われなかったね』と言っても、なぜか話がかみ合わない。『映画って何?』って。そこで間違いに初めて気づくんです」
「試合見たら、打撃の『バコーン』という音や受け身の音がすごくて。アクションってカメラにかぶればよくて当てないからびっくりして。さっきすごくほめてもらったので、『間違えました』とは言えなくて……。それでとりあえず練習に行くんですね。自分たちの時は、基礎の筋トレが認められてから実技に上がれる。9時30分から12時、週5で毎日筋トレでした。その後に出社したら、体が痛くてパソコン打てない。練習は部活みたいで楽しかったです。今まで女子がいない環境が多かったので」
けれど仕事とプロレスを「両立できるかな」「将来の方向性として合っているのか」と感じた。「自分の中に迷いができて」さくらは2回練習を休んだ。
「初めて会場の物販を手伝っていたら、ある社員さんから『すごいポテンシャルのある子が入ったって聞いたよ』と言われた。『それはHANAKOのことで自分じゃないです』って答えたら『学プロの子もだけど、別にもう一人いい子が入ったって聞いたんだよ』って」
その一言が、また練習を頑張ろうという気持ちに導いてくれた。
「プロレスラーになれる素養がある、と思ってくれている人がいるんだ、と。将来を考えた時に、自分に合っているのかどうかという葛藤を、あの言葉が取り払ってくれました」
<続く>


