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「今までは楽しく走ってきた身なので…」大学マラソンサークル出身→わずか2年で世界陸上7位に…24歳・小林香菜の“衝撃シンデレラストーリー”
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph byNanae Suzuki
posted2025/09/25 11:12
マラソンサークル所属だった大学卒業からわずか2年で世界の7位にまで駆け上がった小林香菜。シンデレラストーリーはどこまで続くのか
実際に38km過ぎにバイニオにかわされ入賞ぎりぎりの8位に下がってしまう。それでもピッチを刻み続け、39.5kmでは上りで2時間18分台の記録を持つステラ・チェサン(ウガンダ)を抜いて再び7位に浮上した。
2つ前の選手までが100m以内におり、はっきりと視界に捉えていた。だが、そこからはなかなか差が縮まらない。それでも必死に足を動かし続けた。
ようやく国立競技場に帰ってくると、思わず笑みがこぼれた。そして、万雷の拍手のなか両手を上げてフィニッシュラインに駆け込んだ。
「42kmは長くて辛かったけど…」レース後の想い
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初めての世界選手権は7位。走り終えて倒れ込むほど死力を尽くした。入賞したことは素直にうれしかった。同時に、日本代表に選ばれた時から重圧が大きかっただけに、走り切ったことへの安堵感も大きかった。
「やっぱり42kmは長くて辛かったですけど、今までのレースとは比べ物にならないぐらい歓声が大きくて、皆さんのおかげで楽しく感じることができました。こういう大きなレースを走ることができて本当に幸せだなって思います」
レース前はあんなに怖かったはずなのに、走り終えてみればこんな言葉が口からこぼれ出た。
東京世界陸上で7位に入ったことで、ロサンゼルス五輪日本代表選考レースとなるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ、2027年秋に開催予定)の出場権も獲得した。
社会人で競技を続けようと決意を固めた時から目標に掲げていたレースだ。


